笑門来福
Vol.4 「なぜ人間は頭でわかっていても行動できないのか?」
こんにちは! 池袋 バランス力学整体院の山本浩一朗です。
関東も梅雨入り宣言しましたね。何度もお伝えしていますが、私たちに天候を変える力はないと思いますので、天候で悩む時間はムダです。住む環境を変えないのであれば、与えられた環境を受け入れて、自分ができることにファーカスしていきましょう。
ただ注意点としましては、環境だけでなく、カラダも日々変わっていますので、「昔は大丈夫だった」といった今まで生きてきた経験が通用しなくなるケースが出てくるかもしれません。個人的な過去の経験に頼りすぎて過信しないで、現在のご自身の心身の状態といま与えられた環境を考慮して、うまく付き合っていきましょう!
さて前回は、「脳の成長を促す活動と休息」をお伝えしました。今回も沢山のご感想をいただき、ありがとうございました。例えば、「初めてのヒーリングベッドで、先生が脳波を説明していたことを思い出しました。こちらに通ってから、ストレス耐性や集中力が高くなった実感があります」と。
また、「今の私には何かの初心者になることが大切だと思いました」といったご感想も。大人になって何かの初心者になることは、謙虚にもなれます。様々な経験を積んで大人になると、自分が何でも知っているような錯覚を起こす傾向があるようです。しかし、新たな習い事などを始めて何かの初心者になれば、自分の未熟さを知れるので、脳の成長だけでなく、うぬぼれも防いでくれます。
さらに、「私たち現代人も他の動物と同じように生き残ることを最優先するとのことですが、もう少し詳しく説明してくれませんか?」といったご質問も。今回はその際にお話した内容をお伝えします。
何度かお伝えしていますが、私たち人間の脳はまだまだ科学的に解明できていません。その中で私たち人間は、3つの脳を併せ持っているという「脳の三位一体論」という仮説があります。この説は脳進化学者 ポール・マクリーン氏が提唱した理論。しかし、この仮説は「脳の働きは部位に対して明確に切り分けられているものではない」と、現代では否定されています。
ただ、脳の特徴を理解しやすいモデルであることから、 この論理が仮説だと理解した上で、人間の脳の性質を学ぶために活用するのは有効だといわれています。この仮説では、人間の進化の歴史に沿って、脳は主に下記の3領域の構造になっているとされています。
① 原始爬虫類脳 (反射脳)
特徴:生命維持のために必要な機能(無意識に行われる呼吸・体温調節、危険に対する防衛本能)
欲求:生きたい(安全でいたい)
② 旧哺乳類脳 (情動脳)
特徴:原始的な感情を生み出す機能(「好き嫌い」や「快・不快」を感じる領域、所属感、母性)
欲求:仲間を作りたい(関わりたい・関わりたくない)
③ 人間脳 (思考脳)
特徴:物事を論理的に考える機能(言語機能、学習能⼒、創造的思考能⼒、空間把握能⼒)
欲求:成長したい(目標を達成したい、創造的なことをしたい)
①は生きるための脳で、生命維持のための本能。生きるために必死なので、自己中心的で目の前の短絡的な欲求しか頭にありません。また過去の経験則にこだわって、新しいことは嫌いという性質があります。先人の命令どおりには動くけど、新しい場面に遭遇した時には、過去の記憶に束縛される傾向があるようです。「安全のため、今まで生き残れたように同じ事をしておけばよい」と。このため私たちは、やる気があっても新たなことにチャレンジしないという事態に陥りやすいのです。
②は感じるための脳で、衝動的な感情。人間を含む哺乳類は、群れて行動するという特徴があります。逆にいえば、群れないと遺伝子を残しづらいともいえます。例えば愛情という情動は、仲間と協力して子育てをする集団行動や、非力な子を保護するといった母性的な欲求の源泉になります。その結果、遺伝子を継承する確率を高めることに役立ちます。
③は考えるための脳で、論理的で未来的な思考。私たち人間は、過去の行為など自身について考える内省能力と、内省によって得られる未来への思考能力があります。自分や未来について考えられるから、理性的で学習したい欲求があり、将来を見据えて目的意識を持って行動することができます。また理性があるおかげで、腹が減ったから盗むとか、腹が立ったから他人を殴るといったことを簡単にはしません。さらに「良し悪し」や「損得」を考えられます。 例えば、「お酒を飲みたいけど、脳の健康のため控えます」というのは、人間脳ならではの技です。
そして、私たち人間の3つの脳からの欲求の影響力が強いのは、①②③の順番通り。ほとんどの人が実際に体験したことがあるように、「論理的に正しくても(本能や感情が拒否するものは)受け入れられない」 「頭ではわかっていても行動できない」など。これは、人間脳と爬虫類脳や哺乳類脳との対立によって起こっているといえます。対立すると本能や感情が勝ってしまいます。人間脳が判断したことを、哺乳類脳は「面倒臭い」という気持ちを感じさせることで、人間脳の判断を簡単に覆します。
先述した通り、「脳の三位一体論」は、科学的には否定されています。ただ人間の脳の構造や進化という観点ではなく、本能・感情・思考の欲求をベースに考えるとある程度活用できると私は考えています。まず、「人間は本能には抗えない」ことを理解しておくことが重要だと思います。私たちは生き残った人たちの子孫で、脳は生きのびること以外は二の次です。「いつ死んでもいい」という考えを持っていても、命が危険な場面になれば、生き残ろうとしてしまいます。逆にいえば、生き残るために私たちの脳は不安や恐怖を感じるようになっています。
また人間的な脳は、過度にストレス・疲労を溜めたりすると働きが弱まります。脳機能が低下すると、短絡的な思考になりやすくなります。例えば災害時に、論理的に考えれば問題ない状態なのに、生き残れるかどうかという不安を強く感じて、ティッシュなどの日用品を必要以上に買いたくなる人がいますね。
このような私たち人間の脳の特徴を熟知して、ユーザーを熱狂的にさせているのが、SNSなどのアプリ。前回お伝えした脳のドーパミンという「ご褒美」の分泌を促すことで、「快楽」と「不安」をイタズラに感じさせて、そのアプリがないと生活できないような感覚になってしまいます。ですので、SNSにハマりすぎて脳機能が低下した人は、自分の考えに反して感情的になり過ぎたり、暴力的になったりする人がいるようです。
ただ、考えて判断したことと実際の動きが違うというのは、本人にとって苦痛に感じやすいもの。そのため、 思考によって感情と本能をうまく連動させることが、人生や日々の活動において重要です。 この対立を収める案を思考で見出す例として、自分が大切にしている「価値観」を理解すること。私たち人間は人生の意義など思考で意味づけしたことを基に感情が湧いて、その感情をベースに行動する傾向があるので、自身の価値観を自覚していないと、その時々に湧いてくる感情や本能的な欲に振り回された行動をしてしまうことが多くなります。
意図した行動をするためのポイントは、人間的な脳を使って考え、危険を回避した上で、「自分の望む動き」と「自分の好きな気持ち」を結びつけていくことです。それができれば、本能・感情・思考が協力できて、意図した習慣を身に付けて、目標を達成したり望んだ日々を送ったりすることで、人生が好転していきます。
当整体院が扱う慢性的なカラダの不調の多くは脳機能が低下した状態、具体的には論理的思考や客観的な判断力が低下した状態といわれていますので、似たようなことが起こります。「症状を改善したい」と考えて変わりたくて来院したのに、本能的に「安全でいるためには、新たなことはしない」と改善するための行動をされないケースがあります。このような状態のままだと、症状改善は困難です。
その対策として、バランス力学整体院では「よくなる準備」をしていただくように、サポートをしています。例えば、症状改善後の「なりたい自分」を探します。そして、その状態になったとしても、劇的に生活が変わることはないことに気づくと、本能的にも安心して症状の改善に向かって行動ができます。
ただ、気づくのに時間がかかる人もいます。そのような人の傾向は、理想と現実が乖離していることが多いです。「症状改善さえすれば、素敵な人生に変わる」と。「結婚さえすれば・・・」「金持ちにさえなれば・・・」と似ていますね。「○○さえ叶えば・・・」という状態だと、単に現実逃避しているだけのケースが多いですし、またその目標を達成するのが怖くなったりして、その実現を避ける行動をしやすくなります。
さらに高すぎる目標設定をすると、達成するためには、手段を選ばなくなるケースも。「症状が改善するのなら、不健康になっても構わない」と。スポーツで実力とかけ離れた高い目標を掲げると、勝つためなら何をしてもいいとか、指導者のパワハラに繋がる危険性もあります。
ですので、バランス力学整体院では各々の「なりたい自分」と、当整体院の価値観「カラダの悩みを2人3脚で根本的に解決することで、あなたの生活の質と幸福度の向上に貢献し続ける」の交わる価値を、カラダの状態もみて探すように努めています。その結果、カラダの悩み解決だけでなく、様々な嬉しい変化のご報告をいただいています。
引き続きバランス力学整体院をご利用される皆さまが、本能・感情・思考がうまく連携できて、生活の質や幸福度の向上に貢献し続けられるように、当整体院は精進していきます。
『あなたがいつまでも元気でありますように・・・』
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました!
池袋 バランス力学整体院
院長 山本浩一朗