Vol.3 「脳の成長を促す活動と休息」
こんにちは! 池袋 バランス力学整体院の山本浩一朗です。
今年のGWは、大型連休になった人が多いようですね。連休明けに心身が不調になる人がいることで、「5月病」という言葉があります。「無気力」「集中力がない」「強い不安感」といった軽いうつ症状に近い状態に。不調の原因は様々ですが、4月から環境が変化した人たちの緊張が切れることが一因といわれています。
また大型連休に特に何もしないで過ごした人が、考えすぎて不調になることも。そんなときは、未体験の予定を入れることがオススメ。行ったことがない観光地、やったことがない体験教室・・・・・・など。新たな体験を警戒せずに、おもしろがって取り組んでいきましょう!
さて前回は、「ムダな老化を防ぐ2つのサイクル」をお伝えしました。「確かに仕事の休憩時間にスマホをチェックすると、その後の仕事中に集中力が落ちてイライラしがちです」、「現代ではデジタル機器に時間を使いすぎて、カラダを動かす時間が少なくなっている人が多いですね」など、ご感想ありがとうございます。また、「筋肉の成長はわかりやすいですが、脳の機能性をアップする方法はありますか?」といったご質問も。今回はその際にお話しした内容をお伝えします。
前回のコラムで、最適な加齢をして健康で活き活きと生きていくコツとして、「苦痛」と「回復」のサイクルを繰り返すことを挙げました。人間のカラダは、使わないものは衰えるし、使い続けると壊れてしまうので、「動く」「休む」 どちらも大切だと。そして脳がムダに老化しないで健康を維持していくための「苦痛」として、散歩の習慣をオススメしました。カラダを動かすことで脳機能が活性化して、仕事のパフォーマンス向上やストレスに強くなります。実際、脳機能の低下を防ぐには、記憶トレーニングなどの「脳トレ」をしても効果がなく、カラダを動かすことで大きな効果が出ることが、様々な研究によって明らかにされています。
では脳の機能性がアップする、つまり脳が成長する「苦痛」の方法は何か? 一番効果的といわれているのは、激しい運動です。具体的には、心臓がドキドキして息が上がるような運動を30分以上・週3回。運動後には、脳内に幸せを感じる物質が分泌します。その代表的な1つがドーパミン。ドーパミンの役割の1つに、「何に注目し、集中すればいいのか教えてくれる」というものがあります。
例えば人間は食べなければ生き残れないので、食べるたびに私たちの脳は「いいことをしたよ」とドーパミンを分泌します。人間は長い歴史の大部分をサバンナのような場所で生活し、その環境に適応した者が生き残ってきました。私たち現代人もサバンナのような環境に適した身体と脳を持っていて、他の動物と同じように生き残ることを最優先します。サバンナではカロリー(体の燃料)を手に入れることが重要だったため、多量のカロリーを含む食物を摂取すると、脳がドーパミンという「ご褒美」を出すようになったといわれています。
また生き残るために食べ物を探したり、狩りをしたり、より良い住処を探して移動したりするためには、カラダを動かさざるを得ません。そのため人間の脳は、運動をしたときもドーパミンなどの「ご褒美」を得られるように進化したといわれています。運動はカラダだけでなく、脳にとってもいいことなのです。
また群れをつくって生き残ってきた人間は、他の人たちと仲良くできるかどうかが、生死を分けるような大切なこと。だから、人と仲良くしているときもドーパミンを分泌します。現代ではスマホで、例えばSNSで「いいね」が付いたり付けたりするたびに、小さなドーパミンのご褒美をもらえてしまいます。
しかし私たちの脳は、1日に何百回も小さなドーパミンのご褒美をくれるスマホのような技術の進化に対応できていません。麻薬についても同じ。昔のまま進化していない私たちの脳は、他に優先度が高いことがあっても、SNSなどに夢中になりやすくなってしまいます。そのようなドーパミンを分泌することが習慣になると、心身の危険につながりやすいです。だから、ドーパミンを悪者扱いする風潮がありますね。
その点、激しい運動後にもらえるドーパミンは、SNSからもらえるよりずっと量が多いですし、心身に害がなく幸せな気分になりやすいです。さらに運動をしていないときでも、幸せな気分でいられるようになっていく傾向があります。運動習慣がある人は、運動する前からワクワクしている感じに見えますね。カラダを動かすことに慣れてくると、「運動をしよう」と考えただけでもドーパミンが出るようになるからです。もちろんご機嫌になるには個人差がありますが、運動することで昨日よりも少し幸せな気分になれる時間が増える可能性が高まります。
次に脳の「回復」。前回、脳がムダに老化しないで健康を維持していくための「回復」として大切なのは、質のいい睡眠や意識的にボーっとする時間を確保することなどを挙げました。そして脳の機能性がアップする、つまり脳が成長する「回復」の方法は、脳波がシータ波になる機会を増やすこと。どんな時に脳波がシータ波になっているのかというと、まどろみの状態。例えば、瞑想(マインドフルネス)をしているときは、シータ波が出ていることが多いです。シータ波が出ている時に学習すれば、学習能力が格段に高まります。
また、子供も高齢の方も大脳の神経細胞の数はほぼ変わりませんが、子供は物覚えがよくて発想が豊かなのに、年をとるにつれて記憶力や発想力に衰えが生じてくる傾向があります。この違いを生むのは、シータ波。シータ波は面白いなと好奇心を抱いている時にも出やすいようです。子供は見るもの聞くもの触れるもの、すべてが新鮮で好奇心の的。それに対して大人は、「それ知っている」「つまんない」と好奇心を失ってしまいがち。好奇心を高める対策例としては、ご自身が少しでも興味がある新たな習い事などを始めて、何かの初心者になるといいです。
さらに集中力が最高に高まって無心で物事に取り組む精神状態を心理学では「フロー」(スポーツ界では「ゾーン」)と呼んでいます。フロー状態のときは、頑張ろうとしなくても物事に夢中になって続けられるといわれています。子供の頃に砂いじりに夢中になって、日が暮れたときに長時間やっていたことに気づくといった感じ。
このフロー状態のとき、私たちは最高に幸せで、かつ最高のパフォーマンスを発揮できると考えられています。フロー状態のときには、明確に前頭葉のシータ波が強いという研究結果があります。動物のように振舞っている状態ではなく、人間的な理性を司る前頭葉がフル回転している特殊で不思議な状態だということが判明しています。
フロー状態になる条件の1つとして、「やっていることが難しすぎず簡単すぎないこと」。実際に研究で、「簡単すぎる条件」と「難しすぎる条件」では、前頭葉のシータ波があまり観測されなかったようです。フロー状態になることは稀ですが、ちょっとしたフローの状態(マイクロフロー状態)になることは可能。ちょっと難しいけど興味があることを、好奇心を持って始めてみるのもいいでしょう。
バランス力学整体院が扱う「慢性的なカラダの不調」は、脳機能の低下が主因のケースが多く、病気ではない超軽度のうつ状態ともいえます。うつなどの精神疾患にも激しい運動が有効ですが、そんな状態だと運動する気持ちにはなりづらいもの。当整体院では、ウォーキングより負担が軽いエクササイズの習慣を身につけるように指導させていただいています。また背筋を伸ばした姿勢になることで、脳内にノルアドレナリンが分泌され、脳の情報処理に必要な短期的な記憶力・処理能力などが高まる効果も。姿勢がメンタル面に影響するのも頷けますね。
また脳の疲労回復方法として、「3・6・9腹式呼吸法」を推奨しています。さらに当整体院で扱っている「ヒーリングベッド」に横になっている間の計測結果で、最も発生している脳波はシータ波です。この感覚をつかむことで、「頭が疲れにくくなった」「人間関係のストレスに強くなった」「集中力が高い状態が続きやすくなった」という人が多く、仕事などの日常生活に活かされています。
今回お伝えした脳の「苦痛」(活動)と「回復」(休息)を、簡単にまとめると下記の通りです。
【活動】
脳の健康=散歩・エクササイズなど軽い運動、姿勢を正す
脳の成長=息が上がる激しい運動、新たなことに夢中になる
【休息】
脳の健康=質のいい睡眠、ボーっとする時間を確保、深呼吸
脳の成長=瞑想・ヒーリングベッドなどでシータ波を発生
もちろん上記に挙げたことだけではありません。また上記の全てを実践できる人は、ほとんどいないと思います。意識としては、今よりカラダを動かして、今より何もしない休息の時間を増やす。例えば、散歩が習慣になっている人は、今より速いスピードで遠回りのコースを歩く。スマホを1日2時間イジっている人は、1日1時間までしか使えない設定にして、残った時間を睡眠やボーっとする時間に使う。まずは無理のない範囲内で、少し難しいけどできそうなことから始めてみることをオススメします。それだけで脳の健康には効果的で、ご自身の脳の機能は今よりレベルアップするでしょう。
いま多くの人の健康問題になっている脳機能の低下によって、様々な症状が発生しやすくなっています。その症状の1つが当整体院で扱っている「慢性的なカラダの不調」。バランス力学整体院では上記にまとめた全ての面でサポートはできていませんが、皆さま一人ひとりに合わせて様々なアプローチで、脳の健康のお手伝いもさせていただいています。今後も皆さまの生活の質と幸福度の向上に貢献し続けるようにベストを尽くしていきますので、引き続きお付き合いいただければ嬉しい限りです。
『あなたがいつまでも元気でありますように・・・』
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました!
池袋 バランス力学整体院
院長 山本浩一朗