Vol.1 「プラス思考は、現実逃避志向」
こんにちは! 池袋バランス力学整体院の山本浩一朗です。
年が明けて1ヶ月ほど経ちました。そして、この季節から花粉症で苦しむ人が日本で多くなってきますね。この国民病ともいえる花粉症ですが、重度のアレルギー体質でなければ、当整体院のプログラムを実践することで多くの人が症状を改善されています。もし、花粉症でお悩みの方がいましたら、お声をかけてください!
さて、前回のコラムでバランス力学整体院のプログラムを通して、カラダの不調の改善だけでなく、様々な変化を起こしている人が多いことをお伝えしました。その変化で代表的な2つ「ストレスへの耐性が強くなる」・「遊ぶ時間が増える」を挙げました。「以前の遊びといえば酒を飲みに行ったりして快楽でストレスをごまかしていましたが、今は自分が喜ぶ遊びをしています」、「勉強することが快感でしたが、当時の自分に意味のない資格を取るなどマジメぶって疲れていました」・・・・・・などなど。今回もご感想いただき、ありがとうございます。
さらに、「一番変わったのは、自分の意見を言えるようになったことです」という人が多かったです。これは、我慢したりごまかしたりしてストレスを溜める習慣が少なくなることで、ストレスへの耐性が強くなって、自分がいま何を感じているか気づくことができるように変わったことが大きく影響しているようです。実際「我慢の限界がきて怒りを爆発するクセが直りました」という人も。これも、自分自身が信じた価値観に基づいて「マジメな人」を演じるのをやめて、現実感を取り戻せるようになったことも関係していたようです。
前回もお伝えした通り、妄想は厳しい世界だけど、それに比べて現実はとてもやさしい世界です。現実を見えるようになると、心が寛容になってやさしくなれます。そして、前回のコラムを書いた直後に、私にとって衝撃的なニュースを見ました。今回はそのことをシェアさせていただきます。
私が衝撃を受けた人は、フィギュアスケートのグランプリファイナルで優勝した紀平梨花さん。彼女はジュニア時代に圧倒的な技術を持ちながら、大きな舞台では結果を出せずにいました。ミスをすると立て直すことができず、自滅するパターンが多かったようです。しかし、グランプリファイナルという世界一を決める舞台では立て直すことができたようです。
彼女の中でいったい何が変わったのか? 「できないのに『できる』と思い込んでミスした時の焦りが半端なかった」、「調子が悪くても『できる』と思うと、イメージが湧いてこないのに『できるから大丈夫』みたいな変な感覚になってしまう」と。彼女はこの感覚に気づき、自分が『できる』と思い込み過ぎると『できる』と勘違いしてミスが増えるので、「自分で勘違いをさせちゃダメ」、「自分に現実を見させることが大事」とコメントしていました。
さらに、「今は自分のことがだいぶ分かってきた」とも。以前のように「ショートプログラムはよかったからフリーも『できる』」ではなく、「できないかもしれないから、何とかして持っていくしかない」という考え方に変えたようです。「『そんな簡単じゃないから』って、もっと注意をたくさんのところに配って、『できる』って思いすぎて気を配り忘れるとか、そういうことがないようにと意識できるようになった」と。
グランプリファイナルではフリー演技の序盤で大きなミスをしましたが、以前のように自滅することなく、見事に立て直すことができました。紀平さんはしっかりと現実を見て、今の自分にとって一番力を発揮できる考え方を見つけたことで、快挙を達成されました。
さらに、卓球のスウェーデンオープンで優勝した伊藤美誠さん。リオ五輪でメダル獲得後にスランプに陥った伊藤さん。彼女はメダリストとしてのプレッシャーからか、思い通りのプレーができなくなったようです。プレッシャーへの対策として、「『絶対にプレッシャーを感じない』って言葉で言っていたけど、思いすぎた結果、逆に強いプレッシャーを感じてしまった」と。さらに、「自分の卓球をやろうとし過ぎて、自分の卓球がわからなくなってしまった」と。
このままでダメだと思い、「成長するために、戻ってもいいから進めるものを探そう」と実家に帰ってラケットを持たないで日々を過ごしたようです。勇気ある決断ですね。自分を見つめ直した結果、技術は良くなったけど、子供の頃よく練習していた基礎がまだまだできていないことに気づきました。特に「フットワーク練習は嫌い」という理由で、基礎練習を避けていたようです。「でも、やらないと変われない」と思い、覚悟を決めてやることにしました。
すると、基礎トレーニング強化で自信を取り戻し快進撃。そして、スウェーデンオープンでは卓球王国・中国のトップ選手を次々破り優勝。以前は中国選手が相手だと押されている感じがしたけど、プレッシャーを感じないようにしようとしなかったからか、以前のように感じることはなく、気負いなく淡々とプレーができたとのこと。
さらに、自分の卓球を見つけることができ、「勝って得るものより、負けて得るものの方が多い」という教訓を得たと。「1年間ダメだった分、これだけ成長できた」と喜びを感じていました。
私も「できる」・「大丈夫」にハマった一人です。なぜそうしたのかといいますと、その考えでソコソコの結果を残せていたからだと思います。中学・高校時代は野球部に所属し、「できる」と自分に言い聞かせて、全国大会に2回出場。甲子園の土を踏むことができました。会社員時代は営業職で、「大丈夫」と自分に言い聞かせて、周りだけでなく、自分でも驚くほどの好成績をおさめ、マスコミに特集されることもありました。「プラス思考がよい」という考えが日本で根づいてきた時代背景もあって、私はこの言い聞かせる方法を疑うことなく続けていました。
では、そんな私がなぜこの考え方が間違いだと気づくことができたのか? 自分のカラダが教えてくれたのです。野球では現実を見ないで自分の才能を高く見積って、「できる」と無理をして故障を繰り返し、野球を続けることができなくなりました。会社員時代は、自分自身が感じている感情を無視して自分の精神力を過信し、「大丈夫」と我慢を重ね、慢性的なカラダの不調に悩む日々を送っていました。私はこの貴重な経験で「現実を見る」大切さを学びました。
それにしても、16歳の紀平さんと18歳の伊藤さんはスゴいですね。コーチなどの助言で気づくケースは聞きますが、ご自身で気づかれるとは・・・・・・。世界一を目指すレベルだからなのかもしれませんが、30歳を超えて気づいた私とは大違い。人類の進化を感じます(笑)。
バランス力学整体院には、以前の私のように現実を見ないことを繰り返すことで、カラダに不調を感じるようなっている人が来院されています。私のように「自分はできる・大丈夫」よりも、「自分は悪くない・マジメ・頑張り屋」というように言い聞かせている人の方が多く、逆に「自分はダメ」という人もいます。現実を見たうえで、適度に言い聞かせることは有効になる場合もありますが、過度に言い聞かせている多くのケースは、現実から逃げているだけです。前述した私を含む3人のいわゆる「プラス思考」は、「現実逃避志向」です。
私たち人間は意志を持っているので、本能に逆らうことを選択することが可能です。「限界などない!」と言い聞かせて、持って生まれた人間の性質を無視して、より高い能力を手に入れようとすることができます。しかし、現実には限界が存在します。睡眠・休息・娯楽など自然な要求を無視して体と心を酷使し続けると、その代償を支払うことになります。
当整体院のプログラムを通して、過度に自分に言い聞かせている状態に気づかれて、自分の心身に合ったライフスタイル・働き方に変わっている人が多いです。実際、ご自身のカラダに合った仕事に転身された人もいます。私自身も振り返ってみると、故障で野球の才能がないことに、さらに慢性的な症状によって組織で働くことに不向きなことに気づかされたのだと思います。
ただ、私が意識的に気づいたのはもっと後のことです。別の道にカラダが導いてくれたのだと思います。ココロの声はアタマで考えてごまかせますが、カラダの声はごまかしが効かない場合が多いですね。
過去の私は限界を超えようと無理をして、その代償を支払いました。ただ、後悔はしていません。私たち人間は、限界や現実を知るために、無理をする経験が必要なのだと思います。私たちはその経験を通して、より成長することができるのかもしれませんね。
今後もご自身の体の声をしっかり聴けるように私がサポートすることで、皆さまがより心身の望む方向に進んでいければ嬉しいです。
『あなたがいつまでも元気でありますように・・・』
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました!
池袋バランス力学整体院
院長 山本浩一朗