Vol.3 「幸せになる欲・不幸せになる欲」
こんにちは! 池袋バランス力学整体院の山本浩一朗です。
日本全国各地で梅雨入りしていますね。この時期は、1年の半ばを浄化するかのように、日本中を雨で清めてくれる季節です。また、日本語には「慈雨」という言葉があるように、ちょうどよい時期に適当な量だけ降る「恵みの雨」とも言えます。雨によって、生き物や大地に水が与えられることで活力を蓄えて、これからの暑い季節に備えていきます。また、「晴れ」を「喜び」と表現すれば、「雨」は「慈悲」を表しているかもしれません。天候同様、私たち人間の心も常に「晴れ」ではありません。どうしようもなく悲しいときは、無理して笑顔を作ろうとしないで、「雨」のごとく気の済むまで泣いてみましょう!
さて、前回のコラムで『私自身、今の仕事はご縁をいただいた人の体の悩みを改善したい気持ちで続けています。一般的な治療家の先生が持っている「皆さまの体の状態を良くするべきだ」といった義務感はありません。「何をすべきか?」、「どうあるべきか?」といった考えで行動していません。私が求めている「欲」を基に選択しています。「何がしたいのか?」、「どうありたいのか?」、自問自答して自らの想いに忠実に生きたいと思っています。(中略) 今後も皆さまがより健康になって幸せになって欲しいという私の「欲求」に快くお付き合いいただければ幸いです。』 とお伝えしました。いろんなご感想をいただきましたが、この考えに共感していただいた人が多かったです。ありがとうございます!
ただ、「欲」についてこんな意見もありました。「欲に基づいて選んでいくと、悪い方向にいきそう」「欲のまま行動するとわがままになりそう」・・・・・・などなど。世間からの「欲=悪」という刷り込みも影響しているのか、自分の欲に自信が持てない人もいるようですね。ですので、今回は「欲」について私の考えをお伝えさせていただきます。
欲はとても大切です。欲がないと生活に活力がなくなると思います。ただ、「欲」は大きく分けて2種類あると思います。あえて言葉で表現すれば、「欲求」と「欲望」です。厳密に分けられませんが、分類すると次のようなニュアンスではないでしょうか。
欲求:生命を維持するために生物が本来もっている本能。
*さらに人間には成長や未知なるものへの欲求などもある。
欲望:足りているのに、不足を感じて満たそうと強く望むこと。
「欲望」には際限がありません。本当は不足していないのに、他人と比べて自分が劣っていると思うと、どこまでも求め続けます。しかし、どこまでいっても上には上がいますから、満足することができないのです。だから、「欲望」は少ない方が幸せです。
しかし、「欲求」が無ければ人は成長することができません。でも、「どんな欲でも出すことはよくない」という偏った価値観からか、必要な欲求まで抑え込んで苦しんでいる人もいます。欲求を抑えると成長できないだけでなく、その過程での喜びや悲しみといった感情を素直に感じることが難しくなってきます。これでは苦しくなるのは必然です。
では、どうすれば自分の「欲求」に気づくことができるのでしょうか? 自問自答して、自分が心地よいかどうか観察すれば気づけると思います。しかし、欲求を抑圧することが習慣になっている人は分からないかもしれません。そのような人は、日頃から「いま自分は何を感じているのか」を意識することが必要だと思います。
欧米の心理療法は、怖れ・怒りなどいわゆるマイナスと意味付けされている感情を異物として追い出すことを重視する傾向があります。しかし、人間誰しもそのような感情を感じることはありますので、全く異常ではないものです。「~したい」という欲も人間が本来持っている自然な感情です。子どもは笑うことが多いだけでなく、怒ることも泣くことも大人より多いです。つまり、喜怒哀楽すべての感情を素直に表現しています。だから、幸せなのです。
でも、私たちは、大人になるにつれて、世間の常識に合わせて感情をコントロールしようとします。コントロールといえば聞こえはいいですが、「我慢して抑え込んでいる」というのが正直なところではないでしょうか。自分が気に入らない感情だけ都合よく排除することは矛盾しますので、より苦痛を抱えることになります。ですので、好き嫌いにかかわらず、湧きあがってきた感情を自然なものとして受け容れていくことが大事です。ただ、子どものように表現しなくてよいと思います。自分の感情に寄り添うことが大切です。自分の中にある「真面目で不真面目なところ」、「優しくて冷たいところ」・・・・・・などなど、避けることなく丸ごと受け容れていくのです。
ただ、感情と自分を同一視しないことです。例えば、あなたが他人に殺意を感じたとしても、あなたは殺人鬼ではありません(笑)。自分の感情に縛られないことは大切です。感情は感情にすぎません。ある感情が生まれて、しばらくとどまり、それから消え去ります。その時々の感情を受け容れると、心に安らぎが生まれます。また、再び強い感情に襲われても、自分が乗り越えられることを知っているので、対処しやすくなります。逆に、我慢して抑圧する習慣が身につくことで、感情を爆発して他人を傷つけたり、心身に痛みや病気を作って自分を傷つけたりしているのです。
もちろん、感情には「不安」もあります。不安を感じているから「今はやめよう」と不安を感じるたびに物事から逃げることは、自分の「欲求」とは違います。不安が湧いてきたときは、不安はあるものとして感じて、自己実現欲求に従って、「怖いけど、やり遂げたい!」と行動すると成長や喜びを感じやすくなります。ですので、日頃から自分が何をしたいのかという欲求をある程度知っておくことが大切です。ただ、全てに逃げずに向かっていこうという姿勢は息苦しくなると思います。私たちには逃避欲求もあります。もちろん、私も逃げることはあります(笑)。たまには自分を理解した上で逃げることがあってもいいと思います。自己実現欲求と逃避欲求の折り合いをつけるには、以前コラムでお伝えした下記の「我慢」と「忍耐」の違いが参考になると思います。
我慢:自分の感情を抑え込んだりごまかしたりして無視している状態。
忍耐:自分の感情を分かった上で、心身が耐えられる範囲で何かをしている状態。
「我慢」がクセになっている人は「忍耐」に変えることをオススメします。つまり、不安で逃げたいことをやるにしても、「絶対やらねばならない!」という義務感などで感情を隠したり無視したりして我慢するのではなく、「不安だけれど、欲求を実現するために仕方なく選んでやっている」といった客観性をもって取り組めばいいのです。多少の忍耐を強いられる人生の方が、ストレスにも強くなって、きっと充実したものになるはずです。
ただ、どうしても心身が耐えられないときは、自分の耐性の弱さを認めた上で、逃げればいいのです。感情は直接コントロールできません。自然に湧いてくるものです。コントロール、言い換えればマネジメントできるのは行動です。自分の感情をより好みして我慢するのではなく、自分の素直な感情に気づけるように、行動や習慣を変えていきましょう。すると、心地良さや幸せを感じられる時間が自然に増えていきます。そうなれば、ストレスが溜まることは少なくなって、心身ともに元気になっていくでしょう。
当整体院では「体の痛みの改善を通じて、より幸せを感じられる生活をしていただきたい!」という私の「欲求」に従って、ご自身と向き合っていただくことを大切にしています。しかし、自分の気持ちをごまかし続けていた人には、少し辛い作業になることもあります。ですので、私が寄り添ってしっかりサポートしていきたいと思っています。こんな変わった整体院ですが、共感して活用していただいている皆さまにはありがたい気持ちでいっぱいです。今後も変わらぬ応援よろしくお願いします。
『あなたがいつまでも元気でありますように・・・』
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました!
院長 山本浩一朗