Vol.5 「自分の『好き』に気づく方法」
こんにちは! 池袋バランス力学整体院の山本浩一朗です。
夏本番ですね。私の場合、夏と言えば高校野球。今夏は母校の2年連続甲子園出場は、残念ながら叶いませんでした。その代わりではないですが、私は神宮球場で西東京大会決勝を観戦しました。観客は都大会最高の28,000人でほぼ満員でした。注目の早稲田実業の清宮君は調子がイマイチのようでしたが、大物の雰囲気が漂っていました。まだ高校一年生ですので、これからの成長が楽しみですね。
また、7月に放送された「NHKスペシャル『腰痛・治療革命』」は大きな反響がありました。このような番組が放送されると、「先生が言っていることと同じでしたね」というご感想をいただきます。今回も同様でしたが「先生に医療が少し追いついてきた感じですね」というご意見も。これは違います(笑)。お医者さんも分かっている人は多いと思います。しかし、現状では医療システムと社会心理の問題が大きいと思います。今の日本のシステムでは、科学的根拠に基づいた治療をしても手間がかかるだけで病院の利益になりません。また、患者さんの中には取り急ぎ痛みを取り除いて欲しい気持ちが強いためか、丁寧に説明すると怒る人もいるようです。ですので、腰痛など慢性疼痛には、患者さんから反感を買わない「シップに痛み止め」という定番の処方が繰り返されているのではないでしょうか。私見ですが、慢性疼痛の医療システムを変えていくには、まず患者側の認識――つまり常識が変わっていく必要があると思っています。そうなれば、ムダな治療も減り、慢性疼痛で悩む人も減って、医療費の大幅な削減につながると思います。今回の番組で常識が変わるキッカケになっていけば嬉しいですし、私も微力ながら引き続き伝えていきたいと思っています。
さて、前回の手紙で「刺激的な高揚感は一時的なものなので、求め続けても満足できない。本当に幸せで満足した状態とは静かな状態」とお伝えしました。アフターケアコースで当整体院に通われている方にはほとんど分かっていることで、確認的な内容だったと思います。それでも、「体がよくなっても満足できない人は理解できなかったけど、ダイエットの例で理解できた」「自分をご機嫌にしていく大切さがより深くわかった」などのご感想をいただきました。ありがとうございます! ただ、こんな意見もありました。「自分の機嫌を取ろうとしても、好きなことが分からない」。現代は選択肢が多すぎて、「何を選んでいいのかわからない」、「自分の好きなように選んでと言われても、そもそも自分の『好き』が分からない」、このような風潮はありますね。今回は私なりの「自分の『好き』に気づく方法」をお伝えしますので、何かしらのヒントになれば嬉しいです。
自分の好きなことに気づいたり、機嫌をとったりすることに私がオススメしているのは、まず五感で気持ち良く感じるものに触れること。五感とは視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚。例えば、視るだけで心が落ち着く風景・絵画、聴くだけで心安らぐ音楽、触るだけで気分がよくなる物・・・・・・などなど。また、そのようなものに実際触れなくてもイメージするだけでもいいと思います。こういったことを繰り返しているうちに、自らの脳に眠っていた「好き」という回路が復活して、子供のときに純粋に感じていた「好き」の感覚に敏感になれます。
ただ、五感より思考が優位になっている日本の大人。五感を刺激しても、なかなか好きの感覚が分からないという人もいます。その傾向がある人に多いのは、「好きなことを選ぶ」ということを怖れている人です。自分の「好き」に囲まれている状態が居心地いい人は、自分にOKを出している人――自分を信頼している人です。自分にOKを出せていない人、つまり「自己否定感」が強すぎる人は、「好き」を選ぶことはとても勇気が必要です。自己否定感が強い人は、「嫌い」に囲まれている状態の方がまだ居心地がいいと感じているからです。そのような状態の人は、安易に「嫌い」を選ぶ傾向があります。嫌いな仕事をして、嫌いな人と付き合い、嫌いな人と結婚して、嫌いな家(地域)に住む。そして、「幸せになれない」と嘆いています(笑)。これは「嫌い」の中毒状態ですね。自分の「嫌い」に囲まれていると、被害者気分をいっぱい味わわせてくれます。自分が「かわいそうな人」に思えてきます。そして、同じように「嫌い」に依存している人が同情してくれたりします。
しかし、このような状態にハマっている人は、自分で「嫌い」を選択している感覚はないと思います。自分の「好き」「嫌い」に鈍感になっているのです。しかし、「好き」は分からなくても「嫌い」には気づける傾向があります。ですので、まず「嫌い」から離れることを私は勧めています。「嫌いなこと」や「嫌いな人」に対して、「自分を犠牲にしてやらなければ」、「嫌いな人でも好きになる努力をして仲良くしなければ」、「好き嫌いで判断するのはよくない」といった義務感などを自分自身に押し付けたりすることをやめるのです。「嫌い」から離れることも勇気がいることだと思いますが、「嫌い」に執着している人にとっては、「好き」を選ぶことより怖くないようです。「嫌い」から離れていけば、少しずつ「好き」「楽しい」「幸せ」といった感覚を味わえるようになっていきます。そして、「嫌い」なものに、素直に「嫌い」と言えたり感じたりできるようになっていきます。
もちろん人それぞれの選択ですので、「嫌い」を選び続けるのも一つの選択です。「嫌い」から離れると、被害者意識をしっかり味わえるというメリットを手放すことになりますので、それを恐怖に感じる人も少なからずいるでしょう。そのような状態の人は無理をする必要はありません。自分の「嫌い」という気持ちを理解してあげながら、今は怖いので「嫌い」を選択してもいいと自分に許可すればいいでしょう。妄想ではなく、現実に感じている自分の気持ちを理解できれば、いずれ恐怖心は減っていきますので、自分のタイミングで「好き」を選ぶ機会を増やしていけばいいと思います。
自分の「好き」とか「嫌い」いう感覚を大事にすることは、自分を大事にすることです。自分を大切にしないで感情を抑えつけて誤魔化すことを続けていくと、自分の気持ちが分からなくなってしまいます。「悲しい」が分からない人は、「嬉しい」も分かりません。あまり「泣く」ことがない人は、「笑い」も少ないです。さらに、自分の気持ちを無視することが習慣化すると、心身などに悪影響が現れてきやすくなります。湧いてくる感情に「いい・悪い」はないです。自分にとって都合の良さそうな感情だけを選んでいると、誤魔化す能力が高くなって結果的に自分の感情が分からなくなってしまいます。この状態は「プラス思考」を意識したり、「自己肯定感」を高めようと努力したりした結果とも言えます。「楽観主義」「悲観主義」ではなく、自分が感じた現実を大切にする「現実主義」。「肯定」「否定」ではなく、すべてを受け容れる「受容」。そのように自分と付き合っていけば、自分を大切にできるようになり、さらには他人も心から大切にできるようになります。
今まで自己否定感が強かったり、無理して前向きに生きようとした結果、自分の気持ちを誤魔化して体の痛みとして受け取っていた人が、当整体院のプログラムを続けて体の痛みから解放されただけでなく、自分自身を大切にできるように変わっていく姿を見るのは、私自身とても嬉しいことです。ただ、私自身はプログラムを提供して、皆さまの応援をしているだけです。誤解を恐れずに言えば、ベストを尽くすだけ尽くしたら、結果は知らんといった無責任な態度です(笑)。私にとって嬉しい結果は、皆さま一人ひとりが出した結果です。本当にありがとうございます!今後も多くの人が私を喜ばしていただけるようベストを尽くしていきますので、引き続き応援よろしくお願いします。
『あなたがいつまでも元気でありますように・・・』
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました!
院長 山本浩一朗