Vol.8 「人に迷惑をかけない生き方」
こんにちは! 池袋バランス力学整体院の山本浩一朗です。
11月に入り急に寒くなりましたね。私たちは与えられた天候を淡々と受け容れていくだけですが、季節の変化に耐えられるのは私たち人間の体のお蔭です。体が冷えてくると筋肉が震えたりして発熱してくれます。逆に体が温まると発汗して冷やしてくれます。これは体を一定の状態に保とうとする恒常性(ホメオスタシス)と呼ばれる現象です。「人間のカラダって本当に素晴らしいなぁ~」としみじみ想う今日この頃です。
さて、前回のコラムで「自分の罪に気づくことが大切。私たちは自分がしてしまったことを客観的に観れないとき、言葉で正当化しようとする傾向があって、そうすればするほど自分に嘘をついているので、時間が経過していくと心身ともに凝り固まって自身が苦しくなるケースが多い」とお伝えさせて頂きました。では、何でこの苦しみに陥るのでしょうか? 多くの場合“正しさ”に囚われ過ぎて、現実にそぐわない理想論に偏ることが原因だと思います。日本では「人に迷惑をかけない生き方がよい」という“正しさ”に絶対的な支持がありますね。一方の考えへの支持が強くなりすぎると、心の恒常性が働くように反対に「人に迷惑をかける人はとんでもなく悪い人だ」と拡大解釈されていきます。そうなると、「人に迷惑をかけない人間じゃなきゃダメ」と視野の狭い極論を採用しやすくなります。また、アメリカでは「ポジティブ・シンキングでなければ」と妄信して「ネガティブに考える自分はダメ」という考えを採用する風潮があると言われています。私たち日本人もこの考えに影響を受けている人が多いようです。
このような極論を選んでしまうと、客観性を失って自分を苦しめることになります。人に迷惑をかけない人はいないはずです。生きていれば自然に起こることを否定することで、自分の存在を否定するようになります。「迷惑をかけた私は悪い」と。さらに、「迷惑かけた私は本当の私じゃない」と、前述したように自分を正当化して他人のせいにしたりして誤魔化すことで、余計に苦しむ場合も多くあります。また、「迷惑をかけない」ことにこだわりすぎて、人との接触をできるだけ断つようにしたり、人からの好意を受け取れなくなったりする人もいます。アメリカでは「ポジティブ病」という表現もあり、自然に沸き起こるネガティブな感情を抑えすぎて、精神疾患の人が増えているようです。日本でも同じ傾向があります。
ただ、国や地域によって“正しさ”は様々です。例えば、インドでは迷惑について次のように教えるそうです。「お前は人に迷惑かけて生きているのだから、人のことも許してあげなさい」と。たしかに、私たち人間は生きているだけで何かしら迷惑をかけています。以前このコラムでお伝えしたマザー・テレサが愛した「逆説の十カ条」の1つに「人が本当に助けを必要としていても、実際に助けの手を差し伸べると攻撃されるかもしれない。それでもなお、人を助けなさい。」とあります。人助けという善行をしても、相手がどう感じるかは分かりません。ましてや他人の気持ちをコントロールすることはできません。また、善行というのも個人や今の時代の価値観で良いとされているだけです。しかし、だからといって、意図的に迷惑をかけていいわけではないと思います。本来かけなくていい迷惑はかける必要はありません。しかし、一人で生きていくことが出来ない私たち人間は、どんな形であれ、存在しているだけで何かしら迷惑がかかっていることを忘れないことが大切だと思います。
また、反対に私たちは生きているだけで誰かの役にも立っています。例えば、犬などのペットは、ただ存在しているだけで飼い主の役に立っています。また、木や草花も存在しているだけで役に立っています。私たち人間も同じです。「人の役に立たなければダメ」と力強く思う必要はありません。
「人に迷惑をかけないで生きる」「私は誰の役にも立っていない」このような考えは自意識過剰ですね(笑)。このような考えを採用して、自惚れたり、卑下したりすることで本来の自分を否定して自ら苦しみ、心身から異常のサインが出るケースも多いです。
では、自己否定を少なくするためにはどうすればよいのでしょうか? 「正しい」という理性より、自分の感情に注目することでバランスが取れます。自然に沸き起こってしまう感情は否定したり無視したりしないで認めることです。例えば、前述したインドの教えを絶対的な“正しさ”と妄信して「他人を許さなきゃダメ」というルールを採用しても、人間、許せない時もありますし、腹立つときもあります。それなのに許せない気持ちを理性で抑えて閉じ込めると、その感情をずっと抱えた状態で苦しみが続きます。そんな時は「今、めっちゃ腹立ってる!」と許せないでいる自分を認めて、しっかり観じてあげることで、偏った考え方で苦しむことは少なくなります。さらに、自分のルール外の本音を無意識に隠すことがクセになっている方は、自問することで自分の本音を自覚できるようにしていけば、苦しみから解放されていきます(この方法は個別でお伝えしています)。もちろん、感情に気づくだけでなく、しっかり表現すれば、さらに解放が進んでいきます。自分の気持ちに正直に向き合って寄り添う習慣ができれば、理性と感情が一致するようになって気持ちがとてもラクになっていきます。そうなれば、抑圧した感情がストレスとして溜まることが少なくなるので、心身ともに元気な状態になるでしょう。また、自分を責めることが減り、自分に対して寛容になるので、他人にも寛容になっていきます。
自分が採用する“正しさ”に偏りすぎないで、自然に沸いてきた感情を認めて、気分良く生きるよう努めていきましょう! 私自身も自分をもっと気分よくさせていきたいと思っています。そうすることが、結果的に皆さまの健幸にもつながると思いますので。もちろん、皆さまがどう感じるかは分かりませんが……(笑)
『あなたがいつまでも元気でありますように・・・』
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました!
院長 山本浩一朗