Vol.4 「日本人の自己肯定感が低い3つの理由」
こんにちは! 池袋バランス力学整体院の山本浩一朗です。
6月に入り、関東地方は梅雨入りしましたね。私は汗っかきな体質のため、梅雨の時期は苦手な季節。ただ私には季節を変える能力はないですし、新たな技術を開発して季節を変えようと挑む想いもありません。住む環境を変えれば季節は変わりますが、今後も日本で生活したいので、自分でコントロールできないことはただ受け入れるだけ。できることは、服装や室内の湿度を調整するなどです。天候や環境に限らず、自分ができることにファーカスしていきましょう!
さて前回のコラムは『幸福度を高める3つのステップ』をお伝えしました。「『幸せを感じるためには、幸せを無視することが重要』というのは様々なことに当てはまりますね」、「幸福感は自分が人生の意義を感じられることに没頭したときに、たまたま生まれる『おまけ』というのがシックリきました」・・・・・・など、ご感想ありがとうございます。また、「日本人の幸福度が低いのは、日本人の自己肯定感が低いことと関係があるのでしょうか?」というご質問も。今回はその際にお話したことをお伝えします。
確かに様々な調査で、日本人の自己肯定感は極端に低いという結果が出ています。その理由は3つあると私は思います。1つは、日本人が世界で一番不安を感じやすい遺伝子を持っているから。東アジア系の人は不安を感じやすい傾向が高く、その中でなぜ日本人が世界一になったのかは不明ですが、環境が原因だと推測されています。世界一の災害大国の日本では、不安に敏感でないと、生き残ることが難しくなってきます。人間の生物的な一番の目的は、「生きる(死を避ける)」こと。天災が多い日本の環境で生き残った人は、不安を感じやすい遺伝子を持っていた人。だから私たち日本人にその遺伝子が受け継がれているのだという仮説がありますが、あながち間違っていないと思います。
2つめの理由として挙げられるのは、集団主義的な文化だから。自己肯定感とほぼ同義語の自尊心の高低は、個人主義か集団主義かが関係しているようです。アメリカの研究で、自尊心を意図的に揺るがせて、自分が脅威にさらされたときの反応で、違いがハッキリ出たようです。個人主義的な人は、自分の能力を活かすことで危機を乗り越えようとします。反対に集団主義的な人は、対人関係のスキルを磨くことで危機を乗り越えようとします。
自尊心が高い人は「どうすれば自分の能力をもっと発揮できるようになるか?」に関心があり、自尊心が低い人は「どうすればもっと他人から好かれるのか?」に関心がある傾向があるようです。脅威にさらされた状態だと、自尊心が高い人は「傲慢」に見られ好感度は低くなって、自尊心の低い人は「控えめ」に見られ好感度は高くなるようです。コロナ禍の日本での新型ウイルスの反応も、科学的な見解を述べる人は不評で、不安に寄り添った意見を話す人が好評でしたね。
この研究結果を受けて、個人主義的な文化では自尊心が高いことが評価されやすいが、集団主義的な文化では周囲とうまくやっていくことが重要視されやすい、と研究者は述べています。以前お伝えした「令和のマジメ」といった個人主義的な考えに日本も少し変わってきていると思いますが、まだ日本では少数派。同調圧力の強い日本では「空気」を読むために、過剰に周囲の反応を気にする傾向があるので、日本人は自己肯定感が低くなったともいえます。
最後に3つめの理由として、自己肯定感の高い日本人がウソをつく傾向があるからです。自己肯定感の調査の多くはアンケートで実施しているので、正確性が乏しいです。先述した通り、日本では同調圧力が極めて高いため、自信満々だと叩かれやすいので、自尊心を低く見せておいた方が生きやすいことを、私たちは無意識に知っています。だから、他人からの嫉妬を避けるため、謙虚なふり、バカなふり、お金がないふりなどをする傾向があります。いいか悪いかは置いておいて、それが日本社会で生き残る術です。だから、アンケート調査では自己肯定感が低いと答えていても、実際の研究結果では自尊心が高い人が日本人には多いようです。
それに対して、日本人と遺伝子が近い中国人は、アメリカと同様に自信を前面に出しても許される社会なので、世界的にも自己肯定感が高いという調査結果が多いようです。実際にアンケート調査では、日本人の自尊心は中国人より極端に低いです。しかし、研究テストでは日本人と中国人の自尊心はほぼ変わらない結果が出ています。この結果から、日本人の自己肯定感が極端に低いというのは、自己肯定感が低いふりをしている人が多いともいえます。
さらに、自己肯定感は科学的にわかりづらいので、「自己肯定感≒情緒安定性」と位置付けている研究者もいます。個人主義で自尊心が高くても精神的な安定性がないと、わずかなストレスでも傷ついて、それを回復しようと攻撃的になる傾向があるようです。集団主義で自尊心が低くても情緒安定性が高いと、他人の評価が低くても、もともと自分はそんなものだと肯定しているので、あまり気にしない傾向があります。このように自己肯定感の高さは情緒安定性により上下するので、現時点で最も科学的根拠が高い性格分析といわれている「ビッグファイブ」の1つである「情緒安定性」を、自己肯定感の基準にした方がいいと考えているようです。
日本では自己肯定感を高めようという声が多いですが、私は疑問に思っています。サイコパスなどパーソナリティーに障害がある一部の人は除いて、自己肯定感が極端に高い人は同調性が低すぎるので、かなり昔に共同体から排除されるか殺されるかして、遺伝子を残すことができなくなったと思います。また、ある程度は生まれつき決まっている自己肯定感を高めるというのは、遺伝子を組み替えることに近いと。やはり自分の特性を知って、生きている環境でその特性を活かすことが大切だと思います。
自尊心が高い傾向がある人は、無理ない範囲で環境に合わせることも大切です。日本で生活するには、周りとある程度合わせていく方が生きやすさにつながっていきます。かなり無理をしないと合わせらないようであれば、住む地域や国を変えた方がいいケースもあるでしょう。
反対に日本人に多いといわれている自尊心が低い傾向がある人は、周りに合わせることは自然にできるので、少しでも自分の能力を発揮していくことも大切です。例えば、東アジア系の人に多い不安を感じやすい性質を持っている人は、不安をエネルギーに変えて、不安を克服するために行動することが得意。世界で活躍する東アジア系の人は、勤勉だと評価されています。不安を感じやすいので、現状に満足できない人が多いのでしょう。だから自分が感じる不安や問題にしっかり向き合い、不安や問題の裏側にある希望や解決法にフォーカスして、不安を行動につなげられるようにできる能力が高い人が日本には多いです。この能力を活かせるかどうかは、ご自身次第。
また日本の集団主義的な文化の環境で、「どうすればもっと他人から好かれるのか?」に関心が集中しすぎると、幸福を感じづらくなる傾向があります。例えば、「他人が気になる」と悩んでいる人は、実は自分のことばかり考えている人。自分が他人からどう思われているのか必要以上に気にしているだけ。そんな人たちの悩みの根本にあるのは、自分のことばかりに意識が向いていること。
幸せを感じやすい人は、自分だけに意識が向いていない人が多いです。相手に意識が向いていれば自然と相手の幸せを考えるようになる傾向があるからです。ボランティアなどで他人の幸せを考えているとき、さらに感謝して受け取っているときにも脳内にオキシトシンは分泌されます。感謝して受け取ることは、与えることでもあります。プレゼントをもらって「ありがとう」といっているときは、お互いの気分がいいものですね。
ただ、他人だけに意識が向くのも危険です。「人の為に」という思いが強くなれば、文字通り「偽り」の状態になって、自分を見失いやすくなります。他人の幸せを考えて行動するのも自己犠牲ではなく、「自分がしたいからやっている」という意識を持っておくことが大事。
さらに同調圧力が強い日本の環境の中で、生き残るために無意識に自信などを隠す傾向があることを知っておくことは大切。自覚していないと、偽った姿を本来の自分と勘違いして苦しむことになります。「いま自分は周りに合わせてウソをつくことを選んでいる」と自覚できていれば問題ないです。
「自己肯定感」より高めた方がよいと私が考えているのは、「自己受容感」。自分の好きな性質も嫌いな性質も、すべて受け入れている感覚が大切です。日本の環境など自分がコントロールできないことに関しては、そのまま受け入れる。受容というのは、諦めたり、忘れたり、感情を抑圧することではありません。例えば、過去に起きた出来事を良いとか悪いとか評価をしないで、事実をそのまま受け入れていく。受容力がついてくると、自分の行動や考え方など変えられるものが何かが明確になり、希望が見えて行動に移しやすくなる傾向があります。
バランス力学整体院では慢性的なカラダの不調の改善を通じて、「自己受容」のコツをつかんでいる人が多いです。なぜなら、そうしないと慢性的なカラダの不調が改善しづらいから。だから当整体院を活用することで、「以前より幸せになった!」という人が多いです。私としては、嬉しい限りです。
今後も皆さまが慢性的なカラダの不調をつくりづらい体質に変わることで、より幸せを感じやすい体質に変わっていくようにサポートしていきたいと思っています。まだまだ未熟な私ですが、ご協力よろしくお願いします。あっ!「未熟な私」は謙虚なふりではなく、本心です(笑)。
『あなたがいつまでも元気でありますように・・・・・・』
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました!
院長 山本浩一朗