Vol.6 「『昭和のマジメ』と『令和のマジメ』」
こんにちは! 池袋バランス力学整体院の山本浩一朗です。
9月に入りましたが、まだまだ暑い日が続いていますね。ウイルスのニュースが多いですが、重度の熱中症といわれる「熱射病」の方が私たちの生命の危険度は高いです。DNAの解析結果によれば、人間の自然寿命は約38年だと。それなのに寿命の倍以上も生きているのは、1つは医学の進歩。もう1つはライフスタイルの向上。特にエアコンで私たち人間の快適な温度に環境を調整することが可能になったことが、大きな要因だといわれています。
夏でも1日15分ほどの日光浴は大切ですが、暑い日はこまめに水分と塩分を補給して、定期的に換気をしながら、過ごしやすい快適な部屋の温度を意識的に保つことをオススメします。反対に「昔はエアコンや水なしでも大丈夫だった」と、過去の個人的な経験に頼りすぎることはオススメできません。環境や時代の変化に適度に合わせることが、健康にも大切なことだと思います。
さて前回は、『自責・他責 ~ 人を責めるクセの対処法』をお伝えしました。「自分は他責傾向が強いことで、以前は『被害者意識』が強く、自分は何も行動しないのに、相手を責めたり怒ったりすることが多かったです」、「自責傾向が強いので、『すべては自分の責任』という考えを好んで採用していたけど、その考えで自分を苦しめていたことがわかりました」……などなど、ご感想ありがとうございました。
また、「ココに通ってから、人を責めるクセが弱まってきています」といったうれしいご報告もいただきました。さらに、「以前のコラムで『我慢することは、ひと昔の日本では「マジメ」「いい人」にみられやすかった対応』と書いていましたが、今のマジメは変わってきていますか?」といったご質問も。今回はその際にお伝えしたことをシャアさせていただきます。
マジメという価値観は、時代や国によって違います。ただある程度の共通の流れはあるようです。今回はわかりやすくするために、「昭和のマジメ」・「令和のマジメ」と表現させていただきます。
まず「昭和のマジメ」は、「従順」であることが求められました。これはイギリスで19世紀頃から多くの人を工業社会に適応させるために、個人に自由な行動をさせないためだったといわれています。具体的には「時間を守る」、「命令に従う」、「反復作業を嫌がらない」。この3つは、流れ作業を前提とした工場労働者に求められる資質でした。公共教育の目的も「成長期を過ぎると優秀な工業労働者に仕立てるのは不可能。だから公共教育で産業制度用に育てることが不可欠」だと。これはイギリスの社会学者アンドリュー・ウールの言葉。
義務教育は知識の習得ではなく、集団生活を学ぶことといわれます。ここで言う集団生活を学ぶことというのは、工場で機械的な作業を習得する練習であり、流れ作業員を育成するシステムです。現代の日本の義務教育から大学の新卒一括採用にいたる教育レールを客観的にみると、この目的がいまだに浸透していることがみえますね。
だからなのか日本では「マジメでいることは、義務教育においては無思考でも怒られない唯一の手段。そしてマジメが取り柄という無思考人間が完成する」ともいわれています。日本人は世界トップクラスに「従順」を守ったことで、工業社会で世界的な経済成長を遂げたのかもしれませんね。その反面、自分の意見を持ったり考えたりせずに奴隷のように「従順」であることが、「マジメでいい人」と称賛されやすい社会になっていました。
しかし現代では、「昭和のマジメ」という価値観が通用しづらくなってきました。テクノロジーの進化で工場の自動化により、多くの工場労働者を必要としなくなったからです。人間より機械の方が「従順」で、反復作業でミスも少ないです。日本には過去の栄光にすがっているからなのか、現代でも「従順」を求めている人がまだまだ多い感じがしますね。言い換えれば、日本人の多くが「従順」する能力が高いがゆえに、少子高齢化社会なのにデジタル化にうまく切り替わっていないともいえます。
では「令和のマジメ」は、何が求められるように変わったのでしょうか? ひと言でいえば「信用」です。具体的には「約束を守る」、「質問に答える」、「正直である」。これは、平成時代にインターネットのインフラが整い、ネットオークションのような取引が増えたことによる価値観の変化だといわれています。不要な物だけど誰かに使ってほしい・売りたいといったときに、先述した3つの項目が大切になります。納期など約束を守る(守れない約束はしない)、購入希望者からの質問に真摯に答える、出品した物の傷や汚れなどの状態を正直に伝える(またわからないことはゴマかさないで、わからないと正直に伝える)。
ただ他人に従うだけの「昭和のマジメ」と違い、「令和のマジメ」は自分の頭で考えることが求められています。元サッカー日本代表でユース日本代表コーチの内田篤人さんは、「従順でマジメな選手は伸びない」と言っています。実力が結果としてハッキリ出やすいアスリートの世界では、昭和的なマジメな人は特定の指導者に好かれるかもしれませんが、自身の能力を最大限に発揮することは困難です。
この価値観の変化は、無思考で評価されていた人にとっては、慣れないことかもしれません。実際、当整体院に初めて来院された際に、私が質問しただけで不快そうにされる人もいます。指導者に対して受け身で「従順」であることが通常になっている人にとって、質問に対して自分で考えて答えることは、辛い作業なのかもしれません。また「正直に答える」ことにも慣れていないので、ウソをついてでも「従順な患者」になるように努める人もいます。ただご本人にとっては、ウソをついていることに無自覚な場合が多いです。
しかしバランス力学整体院でご自身のカラダと向き合っていくなかで、ご自身に対して不正直なことに気づかれることが多いです。ただ質問されただけなのに、私に嫌悪感を覚えるということが自身の問題だと気づいて、自分自身に目が向いていくように変わっていく人もいます。なぜそのような人が多いのか? 現実をある程度みえるようにならないと、慢性的なカラダの不調は改善しづらいからです。
私たち人間はアタマではいっぱいウソをつけますが、ココロとカラダはウソをつけません。当整体院のプログラムを通じて、「自分は特別マジメ」というゆがんだ誇大妄想で、自身に恐怖心を与え続けていたことに気づかれて、現実感を取り戻せるようになる人もいます。現実が見えるようになるとやさしくなります。自らの不完全さを受け入れると自分をより愛おしく感じるようになると同時に、他人も受け入れられるようになれます。妄想はとても厳しい世界ですが、それに比べて現実はやさしい世界です。
今回お伝えした「昭和のマジメ」と「令和のマジメ」。どちらが正解というのはありません。ただ、「令和のマジメ」の方が進化した形だと思います。デジタル時代の現代では、人が何をしたか記録に残るようになったので、ウソや隠しごとがバレやすい時代といわれています。「正直者がバカを見る」時代だったのが、正直を積み重ねている人の方が「信用」を得やすく、生きやすい時代に変わってきています。
反対に「昭和のマジメ」の価値観で生きている人は、他人に「従順」で「便利」な人であることを目指しているので、自然と自分にウソをつく生き方になってしまいます。このような生き方は、短期的にうまくいくことがあっても、長期的には苦しく感じるでしょう。
だからといって、「令和のマジメ」にこだわっても、苦しくなるケースはあります。例えば、すべてに正直である必要はありません。ウソが必要な場面もあります。その際は、自分がウソをついていると自覚できることが重要。他人に意識的にウソをついても、自分にウソをつかないことが大切です。当整体院では科学的に間違った伝え方をした方が、症状の改善に有効なケースもあります。その際は、私は積極的に「ウソつき」になります(笑)。
バランス力学整体院では、「正しさ」より、皆さまと当整体院の価値観を大切にしています。価値観が多様な時代だからこそ、他人からどう見られるかではなく、自分が持つ大切な価値観をある程度把握しておくことが大事です。各々の「なりたい自分」と、バランス力学整体院の価値観「カラダの悩みを2人3脚で根本的に解決することで、あなたの生活の質と幸福度の向上に貢献し続ける」の交わる価値を、一人ひとりのカラダをみて探すように努めています。
その点、皆さまは当整体院の「痛み改善プログラム」での実体験を活かして、ご自身の人生の質の向上やカラダの不調を少なくするためにも、「自分に正直に生きる」大切さを実感されている人が多いです。これは素晴らしいことです。そんな皆さまのサポートをさせていただくことで、私は成長する機会を与えていただいています。今後も皆さま一人ひとりが望む状態に応えられるように、私は一人の人間として皆さまと向き合って、協力し合っていきたいと考えています。そのためにも皆さまの応援が力になりますので、引き続きよろしくお願いします。
『あなたがいつまでも元気でありますように・・・』
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました!
院長 山本浩一朗