2021年ばらんすだより
Vol.6 「ストレスを勇気や希望に変える方法」
こんにちは! 池袋バランス力学整体院の山本浩一朗です。
まだ暑い日が続いていますが、秋の気配を感じてきましたね。秋から日照時間が減るので日光を浴びることが少なくなり、脳から特にセロトニンの分泌量が減少しやすくなります。幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの欠乏状態を私たちは無意識に嫌い、セロトニンを増やそうとします。
セロトニンを手っ取り早く増やす方法は、「運動」、「泣く」、そして「食べる」。セロトニンを増やそうとする脳の働きから、ついつい食べる量が増えてしまう。「食欲の秋」の一因ですね。ただ食べすぎた後は、心身に不快感が残りやすいです。食べすぎへの簡単な対処法としてオススメなのは、運動。適度な運動をした後は、心身に爽快感を覚えやすいものです。運動といっても散歩程度でOKです。
また、人間は毎日同じ場所での変化のない単調な生活を繰り返していると、気分が落ち込んでいきます。昨年もお伝えしましたが、新型ウイルスの影響で生活圏を狭めている人も多いかと思います。遠くの場所に自分のカラダを連れて行ってあげればいいのですが、難しいようであれば、通勤をいつもと違う道を通ってみるなど、近くの行ったことのない場所に行って、定期的にリフレッシュすることをオススメします。本能的な欲を無理に抑え込まずに、仲良く付き合っていきましょう!
さて前回のコラムでは、『価値観が合わないと感じる2つのパターン』をお伝えしました。「たしかに夫婦で価値観が合わないと感じるときは、ルールが違うだけですね」、「こちらに通って価値観を言語化することが大切だと痛感したので、家族で話し合う機会が増えました」など、ご感想やご報告ありがとうございます。明確な価値観を持つとストレスを感じますが、そのストレスは心身に役立つものが多いです。
また、「2つのストレスの反応がわかりやすかったです。ほかの反応はありますか?」というご質問も。これは前々回のコラムの内容ですね(笑)。今回はそのときにお話しした内容をシャアさせていただきます。
前々回のコラムで、「ストレスへの反応は大きく分けて2つ。1つは『逃げるか闘うかという反応』。危険なストレスには、心身を守るために反応します。もう1つは『挑戦する反応』。安全なストレスには、成長の機会として積極的にチャレンジしようと反応します。生きる活力が高まり人生が充実するストレスです。そして、現代のストレスはほとんどが後者。しかし、『ストレスは悪い』という社会通念の影響からか、私たちの多くはすべてのストレスに対して生命の危機と同じような対応をして、自ら成長するチャンスを潰す傾向がある」とお伝えしました。
さらにもう1つ代表的な反応を挙げれば、「利他的な反応」。人間にこのような反応が備わっているのは、子孫を守るためといわれています。例えば、火事が起こった家から我が子を助け出そうとする親は、わが身の危険もかえりみずに子供の命を守ろうとします。恐怖でカラダが固まって身動きができなくなれば、愛する子供は命を失ってしまいます。だから危険を避けようとする本能を「利他的な反応」で抑え込むことで、恐怖を弱めて勇気ある行動をすることが人間はできるのです。
「利他的な反応」は、人間の脳の3つのシステムを活性化します。1つはオキシトシンの分泌。思いやりが強まり、人とのつながりを求め、相手を信頼する気持ちが強まります。次にドーパミンの分泌。勇気や自信が強まり、恐怖が弱まります。もう1つは先述したセロトニンの分泌。知覚や直感や自制心が強くなります。「利他的な反応」は子孫を守るために発達したものですが、誰かをいたわろうとすると、自然に心に思いやりが生まれ、身体は勇気が出る状態になり、頭の回転が速くなるのです。
ですから「ストレスは悪い」と信じていると、つらいことは避けようとして、何も行動しなくなりがちです。さらに、身近な人の苦しみや悩みに対して、相手の苦しみを見守るもどかしさから逃れる方法を探そうとして、相手を助ける機会や意欲を失ってしまいます。そうなると、無力感にさいなまれる頻度が多くなっていきます。また精神的な余裕がなくなり、「時間がない」と感じるようです。さらに「利他=自分をすり減らすこと」をいう考えを持っていると、自分が苦しいときは余計な労力は使わずに、いま持っているものを死守しようと現状維持に努めてしまいます。
反対につらさや苦しみをしっかり味わっている人が、精神的に余裕があり、人助けをしているといわれています。実際、衝撃的な事件に遭遇したケースで、人は利他的な傾向が強くなるという研究結果があります。無力感を覚えているときや、時間がないと焦っているときほど、時間を惜しまず誰かの手助けをしたほうがいいでしょう。言い方を変えれば、自分の気分をよくするため、また自分の精神的な余裕をつくるために、手助けをするのです。周りの人の手助けに多くの時間を使うほど、本人の幸福感が高まり、人生により大きな意義を感じられるようになります。他者へのいたわりが、「不安」を「勇気」に変え、「無力感」を「希望」に変えるからです。
また「利他的な反応」は、私たち人間が心身の健康を維持していくために、大切なストレスへの反応だといえます。現に日常的に周りの人を助けることで、強いストレスを感じることがあっても慢性症状への影響は見られず、ストレスによる死亡リスクの増加がなかったという研究結果があります。
ただ、周りの人を助ける行動をすれば、健康になれるかというと私は違うと考えています。その理由は、前述した「利他=自分をすり減らすこと」をいう考えを持っている人が日本には多くみられるからです。そのような考えを持ったまま人助けをしていると、ご自身がとても苦しくなります。これでは精神的なバランスがとれないので、家族には正反対の行動をとる人もいるようです。家庭外では、自分を押し殺して周りの人に喜んでもらう。家庭内では、自分さえよければいい。
日本ではよいことだと思われている「我慢」を美徳としている人は、みんなが気分よくなる行動を考えることを苦手とする人が多い傾向があります。自分を含め誰かが犠牲になることが、当り前になっているのです。ただ、我慢しないからといって、好き放題やることが健康的なことではありません。このコラムで何度か紹介しましたが、下記のように「我慢」ではなく「忍耐」に変えるのです。
・我慢:自分の感情を抑え込んだりごまかしたりして無視している状態。
・忍耐:自分の感情をわかったうえで、心身が耐えられる範囲で何かをしている状態。
ただ、「我慢」する習慣をやめようと意識しても、なかなか難しいもの。だから当整体院では意識ではなく、カラダからのアプローチを基本としています。「身心一如」といわれる通り、そもそも心と体は分けることができません。姿勢が整うと、心も整って余計な不安を作りづらくなくなります。また姿勢が整うと、人間脳といわれる前頭葉により多くの酸素が送り込まれ、脳の機能が活性化されて集中力が高まるともいわれています。逆にいえば、ストレスを避けて不安などの感情をいっぱい溜め込むと姿勢が崩れ、集中できなく疲れやすい状態になったりします。
さらにカラダが整ってくると我慢しづらくなって、喜びや怒りなど自分が感じているそのままの感情を受け入れられやすくなります。自分の感情を押し殺して、社会通念や親の価値観のとおり「いい人」を演じていることや、ご自身に不要なプライドを優先して、今までごまかして溜め込んでいた自分の感情もしっかり気づけるようになります。社会通念やご自身のプライドでイヤだと思っていたことが、自分の中にもちゃんとあることを受容できる心の強さや余裕ができてくるのです。そのような状態になれば、人をサポートしようとする行動を自然と取りやすくなります。
バランス力学整体院の「痛み改善プログラム」では、症状が改善するだけでなく、カラダを使ってご自身の内面と向き合うことで、自分の気持ちを理解できるようになり、我慢する習慣が少なくなる人が多いです。そのため「自分の意見を率直に伝えられるようになった」というご報告が多いです。このような変化は、とても喜ばしいことです。
私自身は皆さまの悩みとしっかり向き合い健康のサポートをすることで、思いやりが強まり、希望が湧き、幸福感が高まり、人生により大きな意義を感じられていると思っています。つまり皆さまが、私の人生をサポートしてくれているのです。今後も誰かが犠牲になるのではなく、お互いが健康で人生の質が高まる関係でありたいので、引き続き応援よろしくお願いします。
『あなたがいつまでも元気でありますように・・・』
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました!
院長 山本浩一朗