2021年ばらんすだより
Vol.7 「あなたの健康を左右する感情との付き合い方」
こんにちは! 池袋バランス力学整体院の山本浩一朗です。
11月に入りましたが、日差しの下では汗ばむくらいの暑さを感じる日がありますね。私は暑さが苦手ですが、私に天候を変える力はありません。能力がないことにエネルギーを使うと、疲れるだけ。でも「今日の天気は(自分にとって不都合だから)何とかしてほしい!」と無意識に思うこともあるでしょう。
そのときは、自分の大切な時間とエネルギーを「ムダ遣い」していることを自覚できるようになることが大切。自分の思考に意識的になれば、できないことを操作することを心からあきらめられます。簡単にコントロールできるのは、自分の行動。変えられないものを受け入れたうえで行動を選択して、自分にとって充実した時間にしていきましょう!
さて前回のコラムでは、『ストレスを勇気や希望に変える方法』をお伝えしました。「たしかに人のためだとあきらめずに、粘り強く目標達成に向かうことができます」、「体の痛みで悩んでいたときは、ストレスを避けて無気力になっていました」、「以前は『時間がない』が口癖でしたが、こちらで体だけでなく、ベッドで脳の状態を整えているからなのか、精神的に余裕ができて、自然と人をサポートする機会が増えています」といったご感想やご報告、ありがとうございました。カラダの不調の改善を通して、様々な変化を感じていただけて嬉しい限りです。
また「我慢するクセが少なくなって思ったことを言えるようになったけど、感情的になって上手く表現できないときもある」といったご報告を数人の方からいただきました。そこで今回は「感情」についてお伝えします。
以前もお伝えした通り、感情はコントロールできません。感情をコントロールできると思っている人は、我慢して抑え込んでいる状態でしょう。バランス力学整体院のプログラムでは、心地よい感情を感じやすくする方法をお伝えしていますが、心地よい感情だけ感じることはできません。基本的には天気と同じように、感情は自然に湧いてくるもの。大切なのは、自分の感情とどう付き合うかです。
例えば、よい感情も悪い感情も存在しないのに、感情を「良い・悪い」で区別すると、価値判断が強く働き、心との葛藤が生まれます。自分が感じる感情の一部を悪いと決めつけると、その感情と闘うことに。さらに抗えば抗うほど、その感情は強まります。
やはり私たちは、湧いてくる感情をまんべんなく感じることが、人生を最大限に生きることにもなります。感情をあえて分けるとすれば、自分が心地よく感じる感情と苦痛に感じる感情があるだけ。苦痛な感情は、緊張時や対立時に現れる健康的な感情です。人間関係でどんなに深い関係になっても、苦痛が消えることはありません。そして、自分が欲するものと現実とのギャップが大きいほど、苦痛は大きくなります。
私たちは苦痛の感情が現れたときに、無意識に2つの基本的な状態になりがちです。1つは回避状態。望ましくない感情を避ける、あるいは排除するためにできる限りのことを努力している状態です。下記に例を挙げます。
・気をそらすために、TV、ゲーム、ネット、人付き合い、ギャンブル、運動、仕事に没頭
・手を引くために、相手から逃げ出す、重要な話し合いを避ける、人と親密になるのを避ける
・様々な思考戦略で自分の感情を解決しようと、相手を分析、無理にポジティブ思考を繰り返す
・苦痛を変えるため、酒、タバコ、砂糖、ジャンクフード、ドラッグなどで快楽を得る
このような回避は、実際に苦痛の感覚を短期的に軽減します。もちろん、適切な使い方をしている限りは問題ありません。しかし、感情が強まるほど効き目は少なくなります。そこで過度に回避状態に頼ると、健康・活力・人間関係、つまり生活の質が損なわれます。ひどくなれば、家族をはじめ他人との関係は遮断され、孤立し心が閉ざされていきます。
もう1つはオートマチック状態。強い感情が起こると意志のないロボットのように感情のいいなりになっている状態です。例えば、怒りが湧くと反射的に相手を傷つける言葉を発したり、ドアを荒々しく閉めるなど物に当たったりする状態です。
苦痛に対してオートマチック状態で生きると、自己認識がほとんどなく自分の行動に無自覚的になって、自分の基本的価値と相いれない軽率で衝動的な後悔する行動が増えてしまいます。
では、感情とどのように付き合えばよいのでしょうか? 回避に代わるのは、受容。受容状態は感情を追い払おうとせず、心を開きその感情を受け入れている状態。これにより、感情が自身に与える影響がずっと少なくなります。
例えば、不安がない状態を目指しても無理です。人間であれば不安を感じるのが正常な状態です。不安を感じたら原因はわからなくていいので、ただ不安を感じる自分がいることを素直にそのまま受け入れる。
だからといって、苦痛な感情を好きになるのとは違います。ただ心の中に存在することを許可するだけ。感情を抑えつけて、闘ったり逃げたりして時間を浪費しなくなります。
もう1つのオートマチックに代わるのは、気づき。気づき状態は、自分の感情と行動に意識的になっている状態。私たち人間は、どこに意識の焦点が合っているか気にしないで生活していると、無意識に外の世界の刺激に反応して生きてしまいます。無意識に反応したときに、「あっ!いま無意識に反応してしまった」と気づくことが大切。気づくだけで意識的になります。
気づき状態であれば、いま現実で起こっていることに意識が向いて、自分の価値に基づいた行動に集中しやすくなります。また、どんなに感情が強くても、感情の操り人形や奴隷にはなりませんので、感情的に自身の意図と違う発言をすることが少なくなります。
また、心が価値判断をやめることもできません。脳が正常であれば、心が判断をするのは自然なことです。心が判断することが多いのは、自分の価値とかけ離れたとき。心の中で自分や他人をこき下ろすような言葉が湧いてきます。
その際は、心で暴言を吐いても、その言葉や思考を信じることなく、真剣に相手にしないこと。音が小さいBGMのように勝手に流れているものと捉えて、自分の心がつぶやく物語と距離をとって観察しましょう。
例えば、「家事を手伝わないパートナー」という物語に取り込まれると、相手に当たったり嫌味を言ったりしがち。また優しい言葉で頼んでも、怒りや敵意がにじみ出てしまい、しっかり相手に伝わります。
この物語に気づいたら、「私は『パートナーは家事に非協力的な人だ』という考えを持っていることに気づいている」と言い換える。もしくは、「またパートナーは非協力的な物語か」と実況中継するように対処するものいいでしょう。
すると敵意から友好の価値につながり、相手は自分と違う人間だという事実を受容できます。そうなれば怒りなどなく、「少し手伝ってもらえると嬉しいんだけど」と自然に頼めます。もちろん結果はわかりませんが、手伝ってもらえる可能性は高まるでしょう。
「自分に正直に生きる」ことは人生で大切なことですが、自分の気分に正直になることとは違います。気分というのは、常に移ろい変わるもの。気分次第で物事を決断していたら、周囲に流されてしまい後悔することになります。だから、その場の雰囲気で移ろう気分に決断を委ねず、どんな状況でも変わらない『自分の価値観』を明確にしておくことが重要です。
バランス力学整体院で扱っている慢性的なカラダの不調との付き合い方は、感情の付き合い方とほぼ同じです。前述した回避状態やオートマチック状態で感情と付き合うことを多用すると、心身の不調という形で表現されやすくなりますので、当整体院では悩んでいる症状に対して、「嫌だけどあってもいいよ」と許可することをオススメしています。
「痛みのないカラダ」を手に入れることは幻想ですし、私たち人間は苦痛な感情同様、カラダに痛みを感じないと生きていくことが難しくなります。痛みを感じるようにできているカラダは敵ではありません。カラダは一生付き合っていくパートナーです。
ただ痛みに苦しんでいるときは、自分一人で症状を受け入れることが難しいケースもあるでしょう。症状やカラダに文句を言っている方が、短期的にはラクかもしれません。
しかし当整体院のプログラムを通じて、「人間は痛みを感じる」という事実を心から受け入れて、痛みは脅威ではなく「安全なもの」と捉えられた人は、痛みを感じることが劇的に少なくなっています。この経験を人間関係などに応用され、「ココに来て人生が変わった」といったご報告をいただくことが多いです。本当にありがいことです。
今後もバランス力学整体院は、来院される人の人生が好転するキッカケになっていきたいです。好転することは変化することですので、その際に苦痛な感情が湧いてくることもありますが、うまく付き合えるようにサポートをしていきます。そのためには皆さまのご協力が不可欠ですので、引き続きよろしくお願いします。
『あなたがいつまでも元気でありますように・・・』
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました!
院長 山本浩一朗