2020年ばらんすだより
Vol.6 「目標達成率が高い人は○○主義者」
こんにちは! 池袋バランス力学整体院の山本浩一朗です。
暑くて短い今年の夏が終わり、秋の気配を感じてきましたね。秋は「○○の秋」といわれるくらい、本能的な欲を感じやすい季節だと思います。今年は新型ウイルスの影響で生活圏を狭めている人も多いかと思います。私たち人間も動物ですので、自然に触れたい欲が強くなっている人もいるかと思います。そのような欲を感じたら、近場でもいいので、自分のカラダを自然豊かな場所に連れて行ってあげましょう!
さて前回のコラムでは、『意志力の3つの特徴』をお伝えしました。意志力はその特徴を知ることで、うまく使えるようになりやすいと。「私は何事も続かないので意志が弱いと思っていたけど、ココのプログラムを簡単に続けることができた理由がわかりました」、「習慣の自動化が大切ですね」・・・・・・などなど、ご感想をいただきました。
また、「私はポジティブに考えることで自分の意志力を過信して、エネルギーを消耗する環境を選ぶ傾向があります」とも。さらに、「目標を立てるときに、『~しない』と禁止してネガティブになるクセがあります」と。目標に対してポジティブやネガティブになる傾向は、皆さま少なからずあると思います。ただ心構えを変えることで、目標の達成率は変わります。今回はその際にお話しした「目標達成率の高め方」をお伝えします。
一般的に「ポジティブに考えると目標を達成できて幸せになれる!」といわれていました。特にアメリカで、プラス思考は幸福へのルートとして長い間賞賛されてきました。悲観的な遺伝子を持つ人が多い日本人のあいだでも、その考えが輸入され、「ネガティブに考える自分を変えなきゃ!」と努める人が増えていました。
しかし、楽観主義や悲観主義、どちらがいいというわけではありません。以前もお伝えした通り、過度なプラス思考やマイナス思考は、現実逃避しているだけです。現にアメリカでは「ポジティブシンキング病」といわれるほど、無理にポジティブに考えることで、精神疾患に苦しむ人が増えたともいわれています。現実と向き合って生活することが、心身の健康維持には大切です。
実際、楽観主義者や悲観主義者より現実主義者が長期的な幸福感を得ることができる、というイギリス・バース大学などで18年間にわたり1600人を追跡した研究結果もあります。「誤った信念に基づいた計画は拙い決定を助長し、合理的で現実的な信念よりも悪い結果をもたらし、楽観主義者と悲観主義者の両方をより低い幸福感に導いてしまう」、「将来について現実的であることと、証拠に基づいて健全な意思決定を行うことは、幸福感をもたらすことができる」と。
また今回の新型ウイルスでも、「楽観主義者は、自分が他の人よりもウイルスに感染しにくいと考えるため、適切な予防措置を取る可能性が低い。一方、悲観主義者は、家から出ようとしない傾向が強い。どちらの方針も幸福のためには適した方法だとは言えない。現実主義者は、科学的理解に基づいて熟慮されたリスクを取る」と発表しています。
楽観的な人は良いことの可能性を過大評価し、悪いことの可能性を過小評価する傾向があるので、高い期待が失望に変わりやすいです。反対にマイナス思考で期待を低く抑えると、失敗したときの失望を制限することは可能。しかし、適度に満足しようと自分の気持ちを抑えると、現実が好ましい状況でも満足感を得られません。では、目標に対してどのように取り組めばよいのでしょうか?
私自身は何かを成し遂げる際に、あえて目標をつくらなくてもいいと思っています。その理由は、熱中できることであれば自然に目標を設定してしまうから。自分がどこに向かっているのかを把握するために、方向性を決めて行動を積み重ねると、適切な目標はつくられていきます。ただし、日々の行動習慣を変えるときは、具体的な目標を立てることはとても役に立つと考えています。その理由は、習慣は無意識に行っているものが多いので、意識しないと変わらないから。また熱中できるものではなく、必要に迫られて現状を変えたいケースが多いからです。
生活習慣の目標に具体性がないと、私たち人間は簡単にラクな方に流されます。例えば、体重が気になってなんとなく減量したいと思っていると、体重と関係ないことに興味が移りがちです。それは、気持ちを体重からそらす方が、やせるよりラクだから。なので、具体性がある目標を掲げたら、現状と目標までの距離に目を向けて、次の2つを考えることが重要です。「目標に近づくために何をするのか」、「目標達成への障害になるものや足りないものは何か」。
目標までの距離を把握できていないと、「行動したくない」「集中できない」といった状態になりがちです。特に障害になるものを考えずに、簡単に挫折する人が多いようです。目標達成をイメージして気分が良くなり、自分に都合が悪いことは起こらないと思い、不都合な事実には目をつむる。非現実的なご都合主義になって、ちょっとした障害にも耐えられなくなってしまうのです。前回のコラム同様、「欲しいもの望むものは簡単に手に入る」という過信が、失敗の確率を高めるのはこのためです。もしくはいい気分を味わうだけで満足して、何も行動しなくなります。
目標の達成を心の底から信じている場合はいいですが、目標を立てているときは、達成することの困難を意識した方がいいです。障害を探すことで、挫折しづらくなります。その結果、望んだ成果を得やすくなります。得られるものだけでなく、自分の前にある課題や困難から逃げないで、しっかり現実を見つめる。そして、その課題や困難がどの程度のものなのかを検討して、目標達成に必要なステップと取るべき行動をすることが、現実主義者の目標への取り組みといえます。いくら深い気づきを得ても、自分の脳を巧みにごまかしても、行動しない限り現実を動かすことはできません。まずは現実をありのまま受け入れる。そして、失敗など好ましくない現実から学習する。さらに、失敗の原因を取り除くように努める。目標達成にはこの繰り返しが必要です。
慢性的なカラダの不調を改善することは、多くの人にとってワクワク熱中できることではありませんね(笑)。必要に迫られて現状を変えたい人がほとんどなので、具体的な目標があった方がいいです。ただ目標を持つことに捉われすぎない方がいいです。カラダの悩みを解消する技術や習慣を身につけたいのであれば、やる気や根性といった精神論に逃げるのではなく、まず行動することを当整体院では推奨しています。例えば、自転車に乗る技術を習得するには、素晴らしい本を読むだけでは身につきませんね。
さらに行動していくと、自分が気づいていなかった心の底から求めている欲(目標)や、無意識に隠していた自身の特性に気づかれる人が多いです。気づいた内容の中には、今までの自分にとって都合の悪いケースもあります。社会心理学者のヴァネッサ・ボウト氏によると「真の幸せとは、幸運も不運も受け入れること」と述べています。彼女によると「幸せならいつも明るく喜びに満ちて、人生に満足し、どんなときも笑顔でいるだろうと思われがちですが、誤解です。幸せで豊かな人生は、楽あれば苦ありの日々を受け入れることで、悪いことを違った視点から見る方法を学ぶことです」と。むしろネガティブな感情、つまりストレスとうまく付き合う方法を身につけることが、幸せな人間になれるかどうかを決めると主張しています。
実際「プラス思考」で物事がうまくいくという科学的根拠はありません。例えば災害の対策を行う際、ネガティブに最悪の事態を想定することはとても大切なこと。これを無理にポジティブに考えて「きっと大丈夫!」と現実逃避していると、悲惨な目に遭う可能性が高まります。目標達成率が高い人は、前向きに行動しながら最悪なケースも想定して受け入れることのできるタイプだというデータもあります。「ネガティブはダサい」ではなく、困難な問題や現実にも向き合える勇気を持つことが大切です。
幸せや喜びを感じやすい体質になるためには、自分がいま感じている気持ちや、何を望んでいるかという欲に、自ら気づいてあげることが重要です。心と脳のズレをなるべく少なくしてあげることです。このズレが慢性的な体調不良になる原因の1つにもなっています。過度にストレスを溜め込んでいる人は、自分にとって不都合な現実と向き合わず、現実を恐れて避けている人ともいえます。「我慢は美徳」、「ストレスは悪い」、「プラス思考が大切」、そんな社会心理を無自覚に信じるように努めていた人もいると思います。
ただ、自分の気持ちをごまかす習慣がある人が、自分の気持ちや現実に一人で孤独に向き合うことは怖いものです。人の脳には自分の好ましくない事実を美化しようとしてしまう性質があります。だから、ありのままの現実を示してくれるパートナーを持っていると、自身と向き合いやすいです。幸い「一人だと挫折したかもしれないけど、先生のおかげで自分と向き合うことができました」という言葉をいただいています。今後もバランス力学整体院は皆さまのパートナーとして、サポートできる存在であり続けたいです。
『あなたがいつまでも元気でありますように・・・』
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました!
院長 山本浩一朗