2018年ばらんすだより
Vol.3 「ストレスを溜めやすくする2つの風潮」
こんにちは! 池袋バランス力学整体院の山本浩一朗です。
日本全国各地で梅雨入りしていますね。様々な意味づけで雨を嫌う人も多いようです。雨に濡れるのが嫌であれば、傘をさせばいいだけです。また、「雨が降ると憂鬱になる」と意味づけしている人もいますね。そのような人に多い傾向は天気予報の見過ぎ(笑)。一年中天候に文句を言っている人は要注意ですね。情報を浴びすぎている可能性が高いので、天気予報は1日1回だけ確認するくらいがオススメです。
ただ、雨を嫌だと感じたのに、「この雨は自然の恵みだ」と無理に意味づけすることはお勧めできません。単なる意味づけではなく、別の問題を天気の問題としてすり替えているケースもあります。天候同様、私たちの心も常に「晴れ」ではありません。どうしようもなく辛いときは、無理して笑顔を作ろうとしないで、「雨」のごとく気の済むまで泣いてみましょう!
先日、都内で講演をさせていただきました。その中で前回のコラムの内容もお伝えしました。「ストレスは悪い」という風潮が、現代日本人がストレスを溜め込みやすくなっている要因の1つだと。さらにもう1つは、「プラス思考が大切」という風潮。こちらは以前にコラムでもお伝えした内容です。
しかし、そのことを何人かの方にお伝えすると「忘れていました」という方がいました。伝えている私は覚えていますが、2年以上前のことですので、読んでいる方にとっては忘れるのも無理もないことだと思います。さらに、「もう一度、伝えてくれませんか」という要望もいただきましたので、今回は復習も兼ねてもう一度お伝えします。
現代はストレス社会。その中で、社会心理をベースにした過度な信念によって、恐怖心を感じる人が増えてきているように思います。「~すべきだ」などの概念を必要以上に信じると、その信念に基づかない現実や感情を受け入れづらくなります。そして、あるべき理想の自分(世界)と現実の自分(世界)とのギャップが大きければ大きいほど苦しくなります。
ただ、以前に比べて日本人の役割に対する信念は弱まってきているように感じます。役割に対する信念は「女・男・親・社会人・学生としてこうあるべきだ」といったものです。今は昭和時代より役割に対する信念は確実に緩んでいると思います。では、どんな風潮が私たちを苦しくしているのでしょうか?
様々な風潮があると思いますが、私の考えでは1つは前回お伝えした「ストレス自体が悪い」という風潮。そして、もう1つが今回お伝えする「プラス思考が大切」という風潮。この風潮が強くなり、ネガティブといわれている感情を大切にしなくなり、さらにはそんな感情は自分にはないものにしようと努力している人が増えているようです。たしかに、いつもネガティブに考えていると私たちは苦しくなります。だから「すべての物事をプラスに捉えよう!」といった言葉が常識のように溢れています。
しかし、今の日本では、逆に「プラス思考」で苦しんでいる人が多くなっています。物事をプラスに考えて上手くいっている人は少数です。これには大きな理由があります。それは、日本人の遺伝子です。1996年の研究発表では、実に98.3%の日本人が悲観的になりやすい遺伝子を持っているとのことです。つまり、日本人で悲観的な遺伝子を持たない人は1.7%、100人中2人ほどなのです。ちなみに同じ研究でアメリカ人は32.2% 、約3分の1の割合で悲観的な遺伝子を持っていない人がいます。
そもそもこの「プラス思考」という考え方は、どこから発生したのでしょうか? これは欧米の自己啓発業界がつくり出したものだといわれています。日本に欧米から持ち込まれた「プラス思考」は最高の考え方だというメディアなどの情報で、知らず知らずのうちに「ポジティブに考えると人生がうまくいく」と信じる人が多くなったのかもしれません。
しかし「プラス思考」は遺伝子的に日本人には合わない考え方だったのです。ですので、私たち日本人が「プラス思考」にハマると苦しくなりやすいのだと思います。そもそも楽観的な遺伝子を持っている人は、物事を自然にポジティブに捉えているので、まったく努力していません。元々ネガティブに捉える傾向が強い多くの日本人が、物事を無理にポジティブに捉え直そうとすれば疲れるのは目に見えています。
さらに、プラスに考えられない自分を責めたりする人もいます。「前向きになれないのは、自分の心に問題があるから」と。そして、心の危険信号ともいわれる慢性疼痛を持つ人が増加し、さらに精神疾患になる人も年々増え続けています。
特に「プラス思考」を推奨していたアメリカでは、「ボジティブシンキング病」といわれるくらい、物事を無理にプラスに考えて精神疾患を抱える人が増えています。日本人から見ると楽観的な遺伝子しかない人は2%もいませんので、変り者に思われがちです。しかし、アメリカ人は3人に1人もいますので、「自分もポジティブ人間になれる!」と本気で思えるのかもしれませんね。ただ、日本人の割合とは違いますが、アメリカ人も67.8%は悲観的な遺伝子を持っていますので、無理があります。
先述した研究結果では、アジア人は悲観的になりやすい遺伝子を持つ傾向があるようです。その悲観的になりやすいアジア人の中でも、最も悲観的になりやすい遺伝子を持つ割合が多いのは日本人です。世界一です(笑)。世界一、悲観的に感じる遺伝子を持っているので、生命の危機に敏感になって世界一の長寿国になったのかもしれません。また災害大国であることも関係していると言われています。不安に敏感だからこそ、様々な対策をした結果、世界一安全な国と言われるまでになったのかもしれませんね。
実際、「プラス思考」で物事がうまくいくという科学的な根拠はありません。例えば、災害の対策を行う際、ネガティブに最悪の事態を想定することはとても大切なことです。これを無理にポジティブに考えて「きっと大丈夫!」と現実逃避していると、悲惨な目に遭う可能性が高まります。目標達成率が高い人は、前向きに行動しながら最悪なケースも想定して受け容れることのできるタイプだというデータもあります。困難な問題にも向き合える勇気を持つことが大切です。
バランス力学整体院では、カラダを使って心地よい感情が湧いてくるようなトレーニングメニューを用意しています。とはいっても、私たち人間は心地よくない感情を覚えるときもあります。そのときは、できる限りそのままの気持ちにしっかり寄り添うことが大切です。結局「プラス思考」でも「マイナス思考」でもなく、大切なのは「受容」です。自分がいま感じている気持ちや、何を望んでいるかという欲に、自ら気づいてあげることが重要です。ココロとアタマのズレをなるべく少なくしてあげることです。このズレが慢性的な体の痛みの原因の1つにもなっています。
さらに、「プラス思考」や「気にしない思考」で湧いてきた心地よくない感情を都合よくアタマでごまかしていると、「わかって!」と気持ち(ココロ)が脳(アタマ)にもっと強い痛みで訴えてきます。そして、自分の気持ちに気づいて優しく受け容れてあげると、痛みは治まりやすくなります。「辛かったんだね」、「クールに振舞ったけど、本当は嬉しかったんだね」と。アタマが親でココロが赤ちゃんの関係です。赤ちゃんは、親の価値観で否定されずに親に見守ってもらえているという安心感があれば、自然と未知なるものに好奇心を示して豊かに成長してゆきます。ココロも「悲しい」「嬉しい」といった気持ちを否定されずにアタマに見守ってもらえていると、無理なく機嫌よく過ごせて成長しやすくなります。
ストレスを溜め込んでいる人は、自分にとって不都合な現実と向き合わず、現実を恐れて避けている人とも言えます。「自分は強いので苦しいことは何もない」、「自分には悲しい気持ちはない」……。「ストレスは悪い」 、「プラス思考が大切」、そんな社会心理から無自覚にそのようにアタマで信じるように努めていた人も多いかと思います。ただ、自分の気持ちをごまかす習慣がある人が、自分の気持ちに1人で孤独に向き合うことは怖いものです。そのようなときに、バランス力学整体院はサポートできる存在でありたいです。
今後も当整体院は体の不調の改善を通して、ココロとアタマ、カラダとアタマのズレを整えるお手伝いをさせていただきます。このお手伝いには、明確なゴールも答えもありません。それでも、もっと深めていきたい欲が私にはあります。皆さまが私の欲にお付き合いしていただくことが、結果的に皆さまの健康や幸せにつながっていけば嬉しいと思っています。まだまだ未熟な私ですが、今後とも変わらぬ応援よろしくお願いします。
『あなたがいつまでも元気でありますように・・・・・・』
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました!
院長 山本浩一朗