2018年ばらんすだより
Vol.6 「現状を変えるためには、精神論より簡単な行動」
こんにちは! 池袋バランス力学整体院の山本浩一朗です。
秋の風が朝晩感じられるようになり、心地よい季節になりましたね。私は日本の四季が好きですが、そのなかでも特に秋が好きです。秋は純粋で本能的な欲を観じやすい季節だと思っています。食欲、睡眠欲、学習欲、運動欲・・・・・・などなど。毎年どんな欲を強く観じるのか楽しみです。私は自然に湧いてくる欲を満たすよう身を任せたいと思っています。いま、皆さまはどんな欲を観じていますか?
さて、前回のコラムでは「心から望む目標に気づく方法」についてお伝えしました。目標のイメージが湧かない人は、行動をして体験を積み重ねることで、心から望む理想や目標も明確になっていくものだと。今回も様々なご感想をいただきました。「医者の例がわかりやすかったです」「行動してみることが大切だとあらためて思いました」・・・・・・などなど。ありがとうございます!
さらには「こちらのプログラムに対しては半信半疑でしたが、とにかく行動したら症状だけでなく、日常生活まで改善されました。振り返ってみると全てのトレーニングが繋がっていて理にかなっていることにも気づきました。先生にはまんまとハメられました(笑)」と言ってくださった方も。
確かにトレーニングメニューの効果をある程度は理解しておくことは大切だと思っていますので、皆さまに説明させていただいています。ただ、完全に納得してから行動したいというのであれば、望む結果を得ることが難しくなります。たとえ結果が出たとしても、何年後になるやら・・・・・・。そこで、今回はバランス力学整体院をご利用される多くの方に、なぜ「論より行動」をオススメしているのかをお伝えします。
何度もお伝えしていますが、ココロとカラダは密接につながっています。もっといえば、「身心一如」という言葉の通り、肉体と精神は一体のもので、分けることができず、コインのように一つのものの両面であるともいえます。そして、心身は行動や習慣を通して変化していくものです。ですので、今の状態から変化をしたい場合は、行動や習慣を変えていく必要があります。
ただ、行動する前にマインドだけ変えることはとても難しいです。例えば、自己啓発セミナー等では「まずはマインドを変えよう!」というアプローチが多いようです。そして、ほとんどの人が何も変わりません。 反対にお寺で修業されている方は、「悟りとは何か」などといったマインドを変える講義から入りません。講義から始めても得られるものが少ないからです。修業は行動主義。最初に行動を決めることで、自己を形成するフレームを一度根底から壊していきます。さらに、この修行をしたから偉いといった「目的」や「やる気」を徹底的に排除して、自分が思い込んでいる「我」を消していきます。
もちろん修行は極端な例ですが、自転車に乗るとか水中を泳ぐといった技術を習得するには、どんなに素晴らしい講義を受けたり本を読んだりしただけでは身につきませんね。ですので、当整体院もカラダの悩みを解消する技術や習慣を身につけたいのであれば、まず行動することをオススメしています。
また、バランス力学整体院のトレーニングメニューには、「やる気」は必要ないとお伝えしています。これは、簡単にできるメニューだからという理由だけではありません。逆に「やる気」は、改善の邪魔になりやすいからです。「やる気が出ない」というのは、行動しない言い訳の場合が多いです。確かに、夢を抱いたときなどには、やる気満々で高揚感を覚えて刺激的ですね。しかし、毎日は続かないのです。ずっと続くと心身に異常が起きます。
毎日は基本的に淡々とした日常の連続です。「やる気がないとできない」という思い込みで何もしないのではなく、一度方向性を決めたら淡々と続けるのです。「やる気」より習慣を裏付ける「行動」が大切です。「やる気」という感情に振り回されると、自分のことを客観的に見つめる冷静さを失います。さらに言い訳をつくることに労力を費やすことも。こうなると、本人の主観ではとても努力しているのですが、結果に向かっていないので、何も得られない状態になりやすいです。
ただ、そうはいっても私たち人間が変わることは難しいですね。以前のコラムでもお伝えしましたが、人が変わることが難しいのは、人間の脳には急激な変化を嫌う「安定化志向」という性質があるからです。安定していたい、つまり、「変わりたくない」という性質が私たちの脳にはあるのです。
例えば、私たち日本人の多くは問題なくご飯を食べられて、生きているわけですよね。この状態を「上手くいっている」と脳は判断するのです。つまり、今までと同じことをして生きていれば、これから先も同じ生活を送れる可能性が高い、だから変わる必要はないと。逆に、変わろうとして何か今までと違うことをしてしまったら、かえって悪くなってしまうリスクの方が高いと脳は判断します。だから、私たちが変わろうとすると、脳は猛烈に邪魔をします。
また、脳には「安定化志向」とともに2大性質として「可塑性(かそせい)」があります。「可塑性」とは変化を保持する性質で、繰り返しの刺激によって新たな神経回路が繋がることで、新たなスキルを身につけるという特徴です。これは年齢を重ねても失われない脳の特徴の1つです。
では、脳の2大性質に逆らわずに変化を手に入れるには、どうすればよいのでしょうか? 脳の「安定化志向」に逆らわずに変化するには、脳に変化しようとしているとは思わせないようにすればいいのです。つまり、今の自分に簡単にできることだけをするのです。スポーツ選手も過度なトレーニングをすると、体を壊してしまいますね。スポーツで一流の人は無理なく簡単にできる基礎訓練の積み重ねをされています。逆に大きな目標を掲げたりして安定化志向に逆らおうとすると、変化しようとしていることが脳にバレて、「変ろうとすればするほど、変われない(行動できない)」といった状態になりやすいです。
脳の「可塑性」を働かせるには、同じ情報を繰り返し脳に刺激を与えることが必要になります。変化を保持するには、同じ情報を入力し続けるだけでは無理です。同じことをやり続ける出力、つまり「行動」が不可欠なのです。過去に何か上手くいったときのことを思い出してみてください。簡単なことをやり続けた結果じゃないでしょうか? 確かな一歩を積み重ねる、これが「可塑性」を働かせる方法でもあるのです。どんなスキルもトレーニングなしには身につきません。毎日コツコツとトレーニングを続けられることが本当の力になるのです。
バランス力学整体院でも、やる気満々で「症状を治したい!」という強い想いやご自身の現状のカラダへの不満が強い人ほど、脳の「安定化志向」が働いて、体験コース中に変化する気にならなかったり、症状がよくなることに強く抵抗されたりする場合もあります。だから、「よくなる準備」も大切にしています。一人ひとり微妙に違いますが、例えば「○○している状態になったら嬉しいけど、トレーニングをやるだけやって症状が残ってもOK」の結果はどっちでもいい状態で方向性を決めて、簡単にできることを淡々と続けると、痛みを引き起こしにくい習慣が定着してきます。
行動や習慣を変えてカラダが変化すれは、脳や感覚・意識、つまりココロが自然に変化します。そうなれば日常生活も変わり、「生活の質」が自然に変わっていきます。お寺の修行のようにご自身が思い込んでいる「我」を消していくわけではありませんが、我慢しすぎたり、我を張りすぎ(頑張りすぎ)たりしなくなる方が多いです。
当整体院で症状を改善した方から、「この方法だと誰でも簡単に結果が出ますね」というありがたい言葉をいただくことが、よくあります。しかし、前述した通り、脳の「安定化志向」が強く働いて、変化することに強く抵抗されて、行動する気になれない人もいます。そのような場合でも、症状解消に向かうようにサポートさせていただきますが、ご本人に強要はしません。もしかすると今のタイミングでは症状が改善されない方が、その人にとってはベストの場合もあると私は思っています。
「体調をよくしたい」と思うのは当たり前ではありません。体調がよくなることにデメリットはありますし、不調であることにもメリットがあります。ご自身が本当に何を求めているのか知ることが大切です。そのうえで、どの道を選ぶのかを決めるのはご本人自身です。もちろん、これは健康に限った話ではありません。人生は、何を求めるか、何を選択するかで決まるとも言われているほどです。
私自身、今の仕事はご縁をいただいた人が、より健康になってより幸せを感じられるようになって欲しい気持ちで続けています。しかし、一般的な治療家の先生が持っている「患者さんの体を良くするべきだ」といった義務感はありません。「何をすべきか?」、「どうあるべきか?」といった考えで行動していません。私が求めている「欲」を基に選択して行動しています。「何がしたいのか?」、「どうありたいのか?」、自問自答して自らの想いに忠実に生きたいと思っています。
こんな私の選択に共感していただいている皆さまの存在はありがたいですし、とても励みになります。今後も皆さまが私の個人的な「欲」に快くお付き合いいただければ幸いです。
『あなたがいつまでも元気でありますように・・・』
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました!
院長 山本浩一朗