2017年ばらんすだより
Vol.4 「体の痛みに苦しむ人が失っているもの」
こんにちは! 池袋バランス力学整体院の山本浩一朗です。
2017年の半分が過ぎましたね。7月に入り30度を超える日が続いて、夏本番って感じです。エアコンが必要な季節ですが、私たち現代人はエアコン1つで温度を調整できるようになったので、無意識に環境をコントロールできると勘違いしている人が増えているようです。日々の天候に文句ばかり言っているような人は、要注意ですよ(笑)。私もたまに言いますが・・・・・・(汗)。
当たり前ですが、与えられた天候を変えることはできません。そのなかで工夫して上手く付き合っていくのが大切ですね。ただ、暑いからといって、ずっと部屋に閉じこもるのはストレスになりますので、天然の冷房ともいえる避暑地の大自然のなかで五感を刺激するのもオススメです。たまには、カラダが喜ぶところに自分を連れていってあげましょう!
さて、前回のコラムで「心身の自由度を高めるコツ」をお伝えしました。「自分の思い込みに気づいて気持ちが楽なる」、「やると自由になっていい意味で責任感が生まれる」など様々なご感想をいただきました。コラムを読まれるだけでなく、書いてある方法をすぐに実践されて報告していただくなんて・・・・・・めちゃくちゃ嬉しいです! さらに、「痛みを直すことは、自分を知ることですね」と鋭いご指摘をされる方もいました。そこで、今回は「痛み」について、科学的な根拠をベースにお話しさせていただきます。
慢性的な痛みの多くは完全に解明できていませんが、科学的な様々な研究の結果、脳が主因であることは間違いないようです。痛みというより、脳自体が完全に解明できていないといった方がよいでしょう。そんななか、いま現在一番有力な説は、脳の前頭前野にあるDLPFC(背外側前頭前野)の機能が低下して痛みを感じやすくなるという研究結果です。DLPFCの活動が衰えると「痛みの回路」の興奮が続きやすくなるのです。このDLPFCは主にメタ認知を司る領域、つまり自分を客観視する機能があります。ですから、慢性的な身体の痛みで悩まれている方の多くは、自分を客観視できていない状態にあるともいえます。
客観性が失われている状態で、多く見られるのが2つのパターンです。1つは我慢強くなっている状態。物事を客観視できていないので、主観に囚われて苦しんでいます。この我慢強い状態は、文字通り我が強い状態ともいえます。「~すべき」という義務感などで自分を束縛しているのです。例えば、「人として皆に平等に優しくするべき」と。もちろん、こんなことできません(笑)。もし、この無理なルールを守り続けようとしたら、自分も含め守っていない人を見るたびにイライラします。また、それだけでなく、自然に湧いてくる「好き」「嫌い」という感情を抑えることで、自分の気持ちを理解できなくなって辛く感じることが多くなるでしょう。
もう1つは不安が強くなっている状態。外部からの情報などを客観的に判断できず、不安を感じ続けて苦しんでいます。例えば、「冷房で体が冷えると腰痛の恐れがある」と。もちろん、そんな科学的な事実はありません。冷静に考えれば、冷房や雪国の寒い地域でたとえ体が冷えたとしても、痛みなどの症状がない人の方が多いのが現実です。しかし、そのような情報を信じてしまうと、冷房が強く効いている場所に行くたびに呪いにかかったように不安に襲われます。私たち現代人は、このように本来感じる必要のない辛さや不安を、痛みなどを使って表現している――逆にいえば、症状が私たちにメッセージを送ってくれているともいえます。
では、低下したDLPFCの機能を高めることはできるのでしょうか? 結論からいえば可能です。脳の中で、前頭前野と海馬は何歳からでも成長させることができるといわれています(当整体院が提供しているプログラムの中に双方を高めるメニューがあります)。そして、DLPFCを鍛える代表的な方法は3つあります。
1つは、自分の様子を客観的にみる視点を養う、つまり自分を自分で観察する習慣をつけることです。これは地道に練習することで、誰でもできるようになります。その実践で役立つのが、痛みなどの症状です。症状が教えてくれるのです。「客観的にみていないよ」と。その都度、客観的な視点を持って自分の本音や思い込みに気づけるようになっていけばいいのです。
もう一つの鍛え方は、自分で自分のことを客観的に見ている人とできるだけ一緒にいることです。皆さまの周りにも何人かはいるのではないでしょうか。自分を客観視できている人と一緒にいると、思考・行動パターンが自然と移ってきます。逆にいえば、主観が強すぎる人、つまり我慢強い人と一緒にいても移りますので、自分がどのような人と付き合う時間が多いかチェックしてみるのもよいでしょう。
最後の3つ目は、自分以外の目から自分を客観視する方法です。自分を観察してくれる人を持ち、その人に観察して教えてもらうということです。日本では、家族にはなかなか本音が言えない人が多いので、周りの信頼できる人、特に仕事とは全く関係ない人を選ぶのがオススメです。
しかし、主観が強すぎる状態では、自分が客観性を失っていること自体に気づけない人が多いでしょう。心身の不調や人間関係などで生きるのがしんどくて行き詰まりを感じない限り、行動には移せない人が多いと思います。その点、慢性的な体の痛みは嫌ですが、辛さが深刻でない場合が多いですね。個人的には、自分と向き合う絶好のチャンスだと思います。
ただ、自分を苦しめている「~すべき」という義務感や、不安を強めている「○○すると悪くなる」といった思い込みに、自分1人で気づくことはとても難しいことです。客観視できていない状況で自分と向き合うことはかなりの勇気が必要になります。目を背けようとして踏み込むことができず、一人で悩んでも解決にならない場合が多いです。
そんなときは、私のような支援者の手を借りることが有効です。私は自身の経験などで様々なヒントをお伝えすることができます。ただ、あくまでもヒントです。私が伝えた内容を「先生がそう言うならそうかもね」と頭で納得しても、気づきにはなりません。ご自身で「なるほど!」と心身で納得する体験が、ご本人の気づきになります。つまり、私などの支援者が、他の人を本質的には気づかすことはできないのです。
そして、バランス力学整体院では、支援者である私が自分を客観視できる存在であることが大切だと思っています。私は客観性を高めるために、前述の3つの方法などを実践しています。私自身のごまかしや思い込みに自分で気づけるように他の人からも学んでいます(実際は学ぶというより趣味に近いかもしれませんが・・・(笑))。皆さまにセルフケアのメニューでサポートするだけでなく、私と一緒にいるだけで客観性が高まり、信頼していただいてご自身を観察してくれる人として選ばれる存在でありたいと思っています。
私は身体の痛みなどに苦しんでいる人に、「よくなって欲しい」という欲求はありますが、私がよくすることはできません。あくまで支援したりする「お手伝いさん」です。私がその気持ちを持ち続けているからか、「先生は治療家っぽくない」というご意見をよくいただきます。なんとなく世間では「ゴッドハンドを持つ治療家」というような威厳のある先生が立派な治療家というイメージがあるようですね。私は治療家ではなく、「トレーナーやコーチみたい」とよく言われます。これは上手い表現だと思います。主役は選手(患者さん)、トレーナー(私)は選手にとっては裏方なのです。
一人ひとりが人生の主役です。心身の健康を通じて、ご自身の人生をより幸せにより充実したものにするために、当整体院を上手く活用していただければと思っています。まだまだ未熟なところが沢山ありますが、引き続きよろしくお願いします。
『あなたがいつまでも元気でありますように・・・』
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました!
院長 山本浩一朗