2015年ばらんすだより
Vol.4 「治療院業界のトレンド」
こんにちは! 池袋バランス力学整体院の山本浩一朗です。
サッカー女子W杯。なでしこJAPANは連覇を逃しましたが、見事な活躍だったと思います。選手、監督、関係者の皆さま、準優勝おめでとうございます! 近年、日本の女性アスリートの活躍が目立ちますね。私事ですが、私の姪が今年ユースチームに合格して、「なでしこJAPAN」を目指してサッカーに日々没頭しています。私の少年時代を思い出させてくれますね~。どこまでいけるか分かりませんが、何かに夢中になる経験は将来きっと役に立つことでしょう。
さて、前回のコラムも様々な感想をいただきました。ありがとうございます! そのなかで、不安なことがあってネットで情報をあさっていたときに、ちょうどコラムを読んで情報収集をやめたら気持ちが楽になったといった内容のご報告が数人の方からありました。たまたまタイミングがよかったのだと思いますが、お役に立てたようで嬉しいです! やはり、必要以上に情報を仕入れると、どんどん不安になっていきますね。そんななか、6月に日本人成人の400万人超にインターネット使用障害、いわゆる「ネット依存(中毒)」の疑いがあると発表されました。ネット依存を評価する質問には「問題から逃げるため、または絶望、不安、落ち込みといった嫌な気持ちから逃げるために、インターネットを使うか?」が含まれていました。ネットに限らず、自分の気持ちと向き合うこと、つまり自分を怖れている人が多くなって、その恐怖から逃れるために何かに中毒的な状態になっているのでしょう。池袋バランス力学整体院では自分自身に対する「怖れ」を手放して、「信頼」を取り戻すようにお手伝いしていきます。
そして、特に最近、当整体院のプログラムを受けると「これをやって良くならない人はいないでしょう!」とよく言われます。また、私の改善法を知ったお医者さんからも「この方法はあらゆる痛み、あらゆる不定愁訴に効果がありますね。」・・・・・・などなど、ありがたいお言葉をいただいています。では、実際はどうなのか? プログラムをしっかり実践された方は、皆さん良くなっています(但し、ガンなどの深刻な病態の方は除きます)。しかし、すべての人が当整体院のプログラムを続けて、実践しているわけではありません。ちゃんとプログラムを実践するかどうかは私の指導力も原因の一つですが、患者さんがどのステージにいるかによっても変わってきます。整体などのいわゆる治療院に通う人が、本人が気づいているかいないかに関わらず、何を必要としているかで、当整体院との付き合い方や結果も変わってきます。私は治療院などに通われる患者さんのステージは大きく分けて3つあると考えています。それは「癒し」→「変化」→「満足」。では、それぞれ解説していきます。
まず、「癒し」を必要としている方は、「辛さをわかって欲しい」のです。そのような人に身体がよくなるように「変化」するよう行動を促したり、今の身体でも十分「満足」なことに気づきを促したりしても逆効果です。そうすればするほど「私のことをわかってくれない」と孤独感に襲われてきます。アタマでは「症状を治したい」と考えて治療院に行っても、ココロでの本音は、「私の気持ちをわかって欲しい」なのです。ご存知の通り、池袋バランス力学整体院では結果を出すために、まず行動を促します。必要以上に患者さんの辛い自慢は聴きません(笑)。もちろん、ある程度は「癒し」も必要だと思っていますが、あくまでも体の改善、つまり「変化」するための「癒し」です。ですので、ホームページにも記載している通り、「癒し」をメインで必要としている人には当整体院は合いません。ご来院されても途中で気持ちが変わらない限り、体験コースだけで終わってしまうケースがほとんどです。当整体院としては、アタマとココロの食い違いから起こるストレスを少なくするために、自分の気持ちに気づくお手伝いをさせていただきます。自分の気持ちに気づけば少し楽になりますし、気づくことで「よくなろう」という意欲が湧いて、気持ちが変わることもあります。
次に「変化」を必要としている方は、「この症状を何とかしたい」のです。そのような人に「癒し」を提供してしまうと、治療家に依存的になってしまいます。現在の治療院業界はこの状態がメインになっている感じがします。腰痛・肩こりなどの慢性的な体の痛みに対して「どうすれば結果が出るのか」をしっかり提案できる治療院が少なく、また様々な治療院に通っても結果が出なかったことから、患者さん全体の意識として「どうせ良くならないだろう」といったあきらめムードがあります。「ハッキリした変化がなくても、症状が少し軽くなればいいかな」と。さらに、患者さんの依存的な態度が、治療家の先生にとっては気持ちがよくなるのかもしれません。そんなムードからか、知らず知らずのうちに患者さんも気の合う先生を探して、そこに通い続けることが目的になりがちです。そして、そのニーズに応えるように、治療院も患者さんが気持ち良く通い続けてもらうサービス、つまり「癒し」を提供します。この状態が主流、つまり治療院業界のトレンドになっているので、「変化」という結果が出にくい状況になっています。また、「この症状を何とかしたい」人に、いまの体に「満足」するよう促しても無理があります。偽りのプラス思考で苦しくなってしまいます。「変化」を起こすには、自ら行動する必要があります。「変化」を必要としている人は、当整体院のプログラムをしっかり実践されます。一般的な整体とは全く違うので、最初は戸惑う方もいますが、具体的な行動の提案をとても喜んでいただいています。
最後に「満足」を必要としている方は、「今の状態で心を満たしたい」のです。そのような人に「癒し」を提供すると、何かエネルギー(気力)を奪われたような感じになります。また、大きな「変化」を促してもあまり意味がありません。どんなに良くなっても満足できない状態になるだけです。その人に必要なのは、今ある健康な体に気づいて「感謝」することなのです。ただ「感謝」というのは文字通り「謝って感じるもの」。「ごめんなさい」と「ありがとうございます」を同時に深く感じることですので、多くの人にとっては非日常的な状態です。また、日本人は「感謝」というと「感謝の心を持つべき」と道徳的になったり、「感謝しなきゃ」と強迫的になったりしてしまう傾向があります。なので、私は「感謝」ではなく、「満足」という言葉を好んで使っています。満たされていない「不満」という刺激をつくって自分を「不機嫌」にするのではなく、満たされていることに気づいて自分を「ご機嫌」にするのです。当整体院で「変化」という結果を手に入れて、自分の体に「満足」している方がアフターケアコースを続けて、満足した状態の維持に努めています。また、体の改善を通じて「満足」され、自分への「信頼」を取り戻したことで、仕事など体とは別のことで「変化」という結果を手に入れている方も多いです。
ただ、ごく少数ですが例外の方もいます。「変化」して結果が出ているにもかかわらず「満足」できず、「もっと、もっと」と「不満」を言っているケースです。一見、現状に満足することなく、常に改善点を見つけて成長しようと前向きなように思えますが、際限なく「満足」を追求するあまり、常に満足できない状態になっているのです。この根底には「自己否定感」があります。どんな状態になっても自分自身に満足できない、健康体であるのに自分の体はどこか悪いと信じているのです。よくなったという「現実」より、自ら作りあげた「物語」を優先しているので、体が良くなることは不都合に感じます。「物語」という思い込みの世界観が強いと、特定の価値観に縛られて不都合な感情は抑圧されます。このような状態には、腰痛・肩こりなどの慢性疼痛はとても便利です。すぐ自分で痛みを作ることができるからです。そして、痛みを作るために、プログラムを大幅に自己流に変えたり、実践をやめたりしてしまう方もいます。「体の痛みは許せない!」と常に痛みを探し求めて、自ら作ってしまうのです。自分の体は悪いと信じているので、「あれだけ辛かった症状が簡単によくなったら困る」「この悪い体が健康になってたまるか」などの無意識的な気持ちから、「変化」から「満足」のステージにステップアップすることを怖れているのです。自分の無力さではなく、自分の能力や能力を活かして輝くことを怖れている状態と同じように、体の不調ではなく、体にある力――自然治癒力を怖れているのです。自分が健康体であることを許せず、受け容れることができないのです。こだわりなどが強すぎると、体だけでなく様々なことに怖れが出てきます。当整体院では、このような方には個別セッションをすると大きな改善が見られます。
痛みをつくり続ける行為は、前回のコラムでお伝えした刺激の中毒の状態とも言えます。体が明らかに変化することは刺激的で高揚感を得られます。ただ、今の状態に満足して維持することは刺激的ではないです。ですので、自己否定感も手伝って、どんどん自分を傷つける行為を繰り返します。これはダイエットでもおこります。ダイエットで痩せることに快感を得て、その気持ちを味わいたいために、またリバウンドして痩せるということを繰り返している人もいるほどです。痩せた状態を維持することに満足できず、痩せることに興奮を覚えているのです。また、スリムに痩せているにもかかわらず、自己否定感から「まだ私は太っている。もっと痩せないと」と自分にプレッシャーをかけ続けて、どんな状態でも満足できない人もいるほどです。この状態の人を冷静に見るとダイエットに中毒的になっていると思えますが、痛みは本当に作ることができますし、主観的で目に見えないものなので中毒と分かりづらい状態です。高揚感を幸せな状態だと勘違いすると、現実逃避からくる依存症になってしまいます。前回お伝えした「お酒」や「ギャンブル」は分かりやすい例ですが、向かっている方向が一見ポジティブでわかりにくいのですが、「仕事」・「ボランティア活動」・「セミナー(習い事)」などにハマりすぎてしまうのも依存症の一種です。「人から頼りにされること」・「楽しいこと」に熱中してしまうのは、度を超すと中毒になったりします。「健康」も行き過ぎると依存的になってしまいます。いわゆる「健康オタク」の人に健康な人は少ないです。大げさにいえば、「健康のためなら死ねる!」といったブラックジョークみたいな状態になるからです。健康な人は健康のことをそんなに真剣に考えていません。適度、つまりテキトーです(笑)。
本当にワクワクしている状態は静かな状態と言えるでしょう。刺激が強いワクワクすることを毎日続けたり考えたりすることが出来るでしょうか? あまりにも高いテンションでは、続けていくことは出来ません。毎日続けていくためには、深く静かに淡々と続けていく必要があります。それが「満足」した状態であり、「幸せ」な状態です。ずっと健康であることは静かで刺激が少ないのです。長年連れ添った夫婦が、常にドキドキした「恋」という興奮状態を続けていたら、一種の病気です(笑)。生物学的には「恋」の心理状態は最大で4年までしか続かないという説もあります。夫婦間で継続性があるのは、「信頼」・「尊敬」・「愛」・・・・・・。相手を何度変えても満足しない恋愛依存症の人は、心がドキドキしていないと落ち着かないクセを持っているのです。
もちろん刺激的な高揚感は悪いものではありません。ただ、それは一時的に感じるものです。常に高揚感を感じようと快楽や不幸をつくって自分を刺激するように努力したり、「熱すれば冷める」という高揚感が続かない自然な状態を、他人など外部のセイにしたりすると、不機嫌になってしまいます。静かな「満足」した状態を続けていくことを自分に許可できれば、無意識のうちに自分以外の人が「満足」な状態になることも受け容れるようになっていきます。
池袋バランス力学整体院では体の痛みなどの改善を通じて、ご自身の体を信頼して「満足」した状態を維持できるようお手伝いさせていただいています。アタマとココロとカラダが一致してくるので、自分の気持ちと向き合う機会が多くなるため、現実を受け容れやすくなります。自分の気持ちに対して誤魔化すことが少なくなることで、「満足」する時間が多くなっていきます。その結果、当整体院に通われている皆さまから、ご機嫌の輪が自然に広がっていけば、この上ない喜びです。
『あなたがいつまでも元気でありますように・・・』
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました!
院長 山本浩一朗