笑門来福
Vol.5 「心身の健康に悪影響を与える日本人の価値観」
こんにちは! 池袋 バランス力学整体院の山本浩一朗です。
外出するのが億劫になるほど、暑い日が続いていますね。ただ、こんなときこそ適度に「動く」ことが、心身の健康のためには大切です。カラダを動かす機会が減っている人には、部屋の片づけがオススメ。「目にも涼しい」という言葉があるように、私たち人間は視覚情報で温度感覚が変わるようです。モノが乱雑にあったり、大量に積み重なったりしていれば、暑苦しい光景だと感じやすいもの。また、モノの質感や色合いも温度感覚を左右します。部屋に冬物があると、より暑く感じてしまいますね。夏のファンションがあるように、住まいにも同様のことがいえます。外出しないで動くことが減っている人は、家で涼しさを感じられるように、住まいも夏仕様に着替えさせて、環境を整えてみてはいかがでしょうか。
さて前回は、「なぜ人間は頭で分かっていても行動できないのか?」をお伝えしました。「現実と向き合わずにストレスを溜めているときは、短絡的な思考になりますね」、「感情や欲に振り回されないためにも、自分が持っている価値観を自覚しておくことが大切ですね」など、ご感想ありがとうございます。また、「日本人が持ちやすい価値観はありますか?」といったご質問も。この件は以前のコラムでもお伝えしたことがありますが、今回はその際に話した内容をシェアさせていただきます。
私たち人間が持つ価値観の多くは、環境に影響されています。自分自身で熟考しない限り、周りの環境に影響されて、無自覚になんとなく価値観を持っているケースがほとんど。そして、協調性が高い遺伝子を持つ傾向が高い日本人の多くが持っているといわれている価値観として、「人に迷惑をかけないで生きていく」が挙げられます。頑なにその価値観に基づいて生きようとすると、「迷惑をかけた人は悪い人」と視野の狭い極論を採用しやすくなります。そうなると、生きづらくなってきますね。人が迷惑をかけないことは、現実的にはムリだから。
そして自らの存在も否定するようになります。「迷惑をかけた私は悪い人」と。反対に自分が人に迷惑をかけたと感じたときに、「迷惑かけた私は本当の私じゃない」と自分を正当化するために他人のせいにするストーリーを作ることに労力を使って、余計に苦しむ場合もあります。
このように非現実的な「人に迷惑をかけないで生きていく」という価値観を持っていると、自分を守ろうと防衛意識が強くなる傾向があります。そして、「自分が傷つかないようにしよう」と。「迷惑をかけない」ことに固執して、人との接触をできるだけ断つようにしたり、人からの好意を受け取れなくなったりする人もいるようです。ただ、筋肉を適度に傷つけて肉体を強くする筋トレと同じように、心も適度に傷ついて強くなっていくものです。傷つかないようにしようといった傾向が強くなると、重要でないことで悩みを抱えたりして、過度にストレスを溜めやすくなります。
また周囲に迷惑をかけないために、「マジメになる」「我慢する」といった方向に価値観を強化する人もいます。マジメに生きるということは、自分のルールを頑なに守ろうとすること。しかし、そんな息苦しい生き方を貫くことは難しいです。そして「自分はマジメだ」と信じている人は、自分の価値基準でマジメではない部分を必死に隠す努力をしています。逆に「自分はワルだ」と信じている人は、自分の中にある良心を隠すように努めています。表現が違うだけで、やっていることは同じ。私がよくお伝えしている「マジメ≒ヤンキー」です。
「真面目な人」「不真面目な人」、「善人」「悪人」と分けて考えがちですが、ほとんどの人はどちらの要素も持っています。「白」「黒」で分けられない「グレー」な存在なのに、極端に区別していると双方ともに必要以上に迷惑をかける結果になりやすいです。
特に自分がマジメだと信じている人は、実際は周囲に迷惑をかけているのに、自分の中では迷惑をかけないようにマジメに生きていると思い込んでいるので、根本的な問題を放置することになりやすいので厄介です。まさに「無知の無知」状態。自分が迷惑をかけていると自覚しているヤンキーは更生しやすいですが、自分が迷惑をかけている自覚がないマジメは悪気がなく、何が迷惑をかけているか理解していない傾向があります。
また日本ではよいことと思われがちな「我慢」を美徳にしている人は、複数人が気分よくなる行動を考えることを苦手とする傾向があります。「利他≒自分をすり減らすこと」という考えを持っている人が、日本には多くみられるからです。「自分だけが我慢すればいい」「自分さえよければいい」と、誰かが犠牲になることが当り前になっているのです。ただ我慢しないからといって、好き放題やることが健康的なことではありません。何度か紹介していますが、下記のように「我慢」ではなく「忍耐」に変えるのです。
・我慢:自分の感情や欲を抑え込んだり誤魔化したりして、気づかないようにしている状態
・忍耐:自分の感情や欲を自覚したうえで、心身が耐えられる範囲内で何かをしている状態
先述した通り、自分が傷つかないように現実逃避して我慢するのではなく、ご自身が耐えられる範囲で現実を受け入れていくことでメンタルも強くなっていきます。
環境によって影響される私たちの価値観ですが、国や地域によって、「価値観」「正しさ」は様々です。例えば、インドでは迷惑について次のように教えるそうです。「あなたは人に迷惑かけて生きているのだから、人のことも許してあげなさい」と。繰り返しになりますが、迷惑をかけないで生きている人など、この世に一人もいません。それでも「迷惑をかけたくない」というなら、別のことで相手に喜びを与える方法を考えることにエネルギーを使えばいいと思います。そうすれば、心の負担が軽くなっていくのが実感できるでしょう。
ただ人助けという善行をしても、相手がどう感じるかは分かりませんし、他人の気持ちをコントロールすることはできません。また、善行というのも個人や今の時代の価値観で「善」とされているだけです。だからといって、意図的に迷惑をかけていいわけではないと思います。本来かけなくていい迷惑はかける必要はありません。
しかし、一人で生きていくことが出来ない私たち人間は、存在しているだけで何かしら迷惑がかかっていることを忘れないことが大切だと思います。また同時に私たちは、生きているだけで誰かの役にも立っています。例えば、ペットは、ただ存在しているだけで飼い主の役に立っていますし、迷惑もかけています。私たち人間も同じです。
「人に迷惑をかけないで生きる」「私は誰の役にも立っていない」と強く思っている人は、自意識過剰です(笑)。多くの日本人が環境の影響で持つ「迷惑をかけない」という価値観。そのために「傷つかない」「マジメになる」「我慢する」といった価値観で強化して、自己防衛したり、自惚れたり、卑下したりすることで自らの存在を否定して苦しみ、心身から異常のサインが出るケースも多いです。
バランス力学整体院では一人ひとりの価値観とまではいかなくても、各々の「なりたい自分」と、当整体院の価値観「カラダの悩みを2人3脚で根本的に解決することで、あなたの生活の質と幸福度の向上に貢献し続ける」の交わる価値を、カラダの状態もみて探すように努めています。
しかしバランス力学整体院の価値観は、ストレスになることもあります。生活習慣を変えずに症状だけ改善することを夢みている人は当然として、まずカラダの悩みを解決するという変化を起こす行動自体が、ストレスに感じる人もいるでしょう。また「生活の質と幸福度の向上」の継続も、現実と向き合う必要があるので、現実逃避している人にはストレスが発生します。変化にはストレスが伴いますが、価値を持って悩んでいる状況を成長するチャンスと捉えてチャレンジすることで、心身の健康につながっていきます。
実際、当整体院のプログラムをキッカケに、自らを苦しめていた実現不可能な価値観を無意識に持っていたことに気づいて、新たな価値観を支持して行動が変わることで、「以前より精神的にラクに過ごせるようになりました」「自分を信頼できるようになりました」など、嬉しいご報告をいただいています。
今後もバランス力学整体院のプログラムを通して、「痛みを感じやすい体質」から「喜びを感じやすい体質」に改善する人が増えることで、周りの人にも伝染するように喜びを感じやすくなる人の輪を広げていきたいと思っています。もちろん、皆さまがその輪を広げていくように努める義務はありません。不幸が連鎖するのと同じように、幸福感も勝手に広がっていくと私は思っています。そのために私自身がさらに喜びを感じやすい体質になって、皆さまの幸福な時間を少しでも増やすサポートを続けていきます。
幸福度が低いと評価されている日本人。私の活動が、結果的に多くの人の幸福度向上に貢献していくことを願っています。今後も私の欲に基づいたワガママな価値観に付き合っていただければ幸いです。
『あなたがいつまでも元気でありますように・・・』
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました!
池袋 バランス力学整体院
院長 山本浩一朗