Vol.2 「なぜ、体の痛みに悩む人が増えているのか?」
こんにちは! 池袋バランス力学整体院の山本浩一朗です。
毎年この季節になるとお伝えてしている国民病ともいえる花粉症。当整体院では、多くの人の花粉症の症状がなくなっています。ただ、花粉症の症状が全く出なくなった方から、周りの人に「花粉症が治った」と言っても信じてくれないというご報告が毎年恒例となり、今年も数件ありました。私も「嘘だ!」と信じてくれない人がいましたので、「花粉症は治らない」というのが今の常識なのでしょう。ただ、ご報告してくれた方も説明はしなかったようです。信じていない人によくなった経緯を説明しても怪しいだけですから・・・・・・(笑)。周りの意見はいろいろあると思いますが、必要以上に反応しないで、現実を素直に受け容れていきましょう!
さて、バランス力学整体院が開院して、今年の2月22日で10年の月日が流れました。10年続く会社・店舗は5%程といわれるなか、当整体院が存在し続けていることは奇跡です。ありがたいことです。これも、当整体院を応援してくださった皆さまや様々な方のおかげです。ありがとうございます! 私は自分の体験をもとに、多くの慢性的な体の痛みで苦しんでいる人達を助けたいと想い、この業界に入りました。そして、今では当整体院のプログラムを続けたほとんどの方が痛みから解放されています。これは、とても喜ばしいことです。
しかし、日本全体では、腰痛・肩こりなどの慢性疼痛を持つ人は、年々増えてきているのが現状です。もちろんこの結果には、個人的な問題もあります(当整体院では、個別にお伝えさせていただいています)。ただ、大きな問題としては社会的な問題があります。この10~20年程で大きく環境が変わったことがあります。それは情報環境です。パソコンやスマートフォンなどの携帯端末を1人1台持つことが当たり前になり、手軽に様々な情報を手に入れることができるようになったのです。確かに便利になった部分もあります。しかし、多くの人がストレスを抱えやすい環境に変わったとも言えます。情報過多になり、自分の声が聞こえなくなって、外部の声ばかりに反応しやすくなっていまいます。この状態は次の言葉を思い出させてくれます。
人間とは噂の奴隷であり、しかもそれを、自分で望ましいと思う色をつけた形で信じてしまう。
ガイウス・ユリウス・カエサル(古代ローマの軍人・政治家)
例えば、「ストレスで胃が痛くなる」というのは常識として定着しています。しかし、なぜストレスで胃が痛くなるのかは、ほとんどの人が分かっていません。これは、ただ噂が広がっただけにすぎません。それでも、多くの人がこのことを疑うことのない事実として信じているのです(ストレスで胃が痛くなることは事実です)。また、前述した「花粉症は治らない」も同じです。この噂を信じている人にとっては、「花粉症が治る」という事実はとても不都合で望ましくないことです。そして残念ながら「ストレスで腰が痛くなる」という噂もまだ広がっていません。「地球は丸い」も昔は信じられていなかったのと同じように、それが本当であろうがなかろうが、噂として広まらないと常識にはならないのです。
しかし、ここ数年で「ストレスで腰が痛くなる」という情報は多く出てくるようになりました。特に2012年11月に日本でも「腰痛診療ガイドライン」が発表されたことにより、「腰痛≒ストレス」の情報が広まりつつあります。それでもなぜ噂として広まらないのか? それは、違う情報の方が圧倒的に多いからです。いまだに、「前屈みになると腰痛になるから危険」「筋力を鍛えないと腰痛になる」「腰痛にならない靴下の履き方」・・・・・・などなど。こんな根拠のない情報が溢れています。そして、この情報を流しているのが“名医”といわれる人だったりします。当整体院のプログラムを受けた方は分かると思いますが、厄介なことにこの種の情報を無意識のうちに繰り返し見たり聞いたりすることで、腰痛になりやすい下地をつくってしまうのです。
さらに、このような情報には、人間の身体に対する畏敬の念が全く感じられません。体は自然な老化があっても、その時点で常にベストの状態を保とうとしているにもかかわらず、この種の情報を真に受けると、自分の体はどんどん悪くなると思い込んで、自分の身体にある自然治癒力を信じることができなくなり、不安や不信感でいっぱいになっていきます。これでは、健康で幸せを感じながら暮らすことは困難になっていきます。日本での腰痛人口が1998年に1000万人だったのが15年後の2013年に約3倍の2800万人に増えた主因は情報過多だと私は思います。このような環境になっていったのは、IT技術の発展や現在の医療制度など様々なことが原因となっていると思います。
しかし、この状況を社会の責任にしたところで、私たちには解決できないでしょう。かといって、情報リテラシーを高めて、すべての情報に対して、物事の本質をしっかり捉えて対処するのは難しいです。前述したカエサルの言葉のとおり「人間は噂の奴隷になるものだ」と認識しておいた方が賢明でしょう。ですので、個人個人で出来ることは、可能な範囲で環境を変えていくしかありません。外部の情報ではなく、自分の声をしっかり聴くことが大切です。そのためには、外部からの情報をある程度制限する必要があります。
iPhoneやiPadの生みの親、故スティーブ・ジョブズは、自身の子供たちにはハイテク機器の利用を制限していました。子供たちはiPadを使ったことがなかったそうです。毎晩、キッチンで子供たちと本や歴史や様々なトピックについて、コンピューターを使うことなく話し合っていたそうです。実際、UCLA大学での研究によると、数日間、電子機器利用を禁止しただけで、子供たちの社交スキルが瞬く間に向上したそうです。自分の言葉でコミュニケーションが取れるようになったのです。これは、大人にも当てはまると思います。スクリーンタイム(画面を見つめる時間)よりも、フェイス・トゥ・フェイス(面と向かった)の会話を優先する方が健全です。
必要以上に情報に触れたり、情報をかき集めたりしているときの動機の多くは「不安・恐れ」からです。ですので、多くの情報に触れてほしいメディアは、視る人が不安になるような情報を提供します。これが多くの消費者が求めているものですから。そして必要以上の情報に触れた人の気持ちは、不安で一杯になってストレスを溜めて、自分の本当の気持ちに気づけなくなっていく傾向があります。実際、ワシントン州立大学の今年の研究では、人間のリスク回避傾向が強力であるため、消費者は悪いニュースが多いメディアを選ぶという結果でした。さらに、悪いニュースが多すぎると、一部の人はうつ傾向になり恐怖感を高める悪影響があるとのことでした。もちろん慢性疼痛にも影響があると様々な研究結果でいわれています。
現代の日本の社会環境では、意識してスクリーンから離れる習慣を持つことが大切だと思います。さらに、自分の身体の声を聴く習慣が大切です。いま身体は何をしたいのか? 「散歩したい」「○○を体に入れてほしい」・・・・・・。 そっと耳を傾ける習慣が大切です。気をつけたいのは、頭から聞こえる声ではありません。頭で考えると外部の情報をもとにして、とにかく余計なことを考えてしまいます。今はアップル社だけでなく、グーグルやインテルなど多くの欧米企業が瞑想を取り入れています。情報過多の環境のなかで、何もしないで「ボー」とする時間を意識的につくっていくことが大切になってきているようです。
当整体院では、瞑想の指導はしていませんが、寝るだけで瞑想状態になれる「ヒーリングベッド・さよならストレスくん」を提供して、おかげさまでご好評をいただいています。このベッドに寝ると脳波が変わり、「頭で何も考えたくない状態」になって「ただカラダで観じる世界」に入っていきます。日頃からこの状態をキープするのは難しいですが、この感覚を身体で覚えておくことが大切だと思います。そうすれば、自然と身体の声が聴こえやすくなっていきます。
たまには、TV・PC・携帯電話などの電源をすべてオフにして、自分自身と向き合ってみましょう。世間の情報とは全く違うけど、きっと今のあなたにとって最適な情報を得ることができるでしょう。
『あなたがいつまでも元気でありますように・・・』
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました!
院長 山本浩一朗