Vol.8 「現実に抵抗しない生き方」
こんにちは! 池袋バランス力学整体院の山本浩一朗です。
秋の風を感じる季節になってきましたね。また、各地で木々が色づいてきました。この季節は、森林浴に行って、五感を刺激するのもよいでしょう。言葉のない世界で、ただ感じる自分を観る。そうすれば、自分の体が森林と切れ目なく溶け込むように自然と調和して、とても気分がよくなっていきます。ココロとカラダがつながっていない、言動と行動があまりにも一致していないと感じている人には特にオススメです。
さて、前回のコラムは、いつも以上に反響がありました。ありがとうございます! 共感されたのが「嫌われたくない」という想い。やはり、この想いは現代の日本人の風潮なのでしょう。ただ、嫌われないために自分の気持ちをごまかしても、自分が自分でないように感じて苦しむだけです。前回お伝えしたように、感情には間違いはありませんし、失敗もありません。ただ、そう感じているという現実があるだけです。「(人から嫌われないために)自分はこう感じるべきだ!」と押しつけても、自分の好みに関わらず、いま感じている現実は変わりません。ですので、現実に抵抗しないで、受け容れていくことが大切だとお伝えしました。
では、なぜ現実に対して抵抗しない方がよいのでしょうか? それは、現実と闘うと100%負けるからです。現実を変えることはできません。しかし、多くの人が現実を変えようとして苦しんでいます。例えば、自分は不幸だという人に「あなたに幸せになってほしい」と思っているとしましょう。その気持ち自体は軽い願望であれば問題ないのですが、その想いが強くなってくると、「あなたは幸せになるべきだ」という考え、つまり信念に変わってくるのです。しかし、現実は、その人は「私は不幸だ」と言っているのです。あなたがどんなにその人が幸せになるように努力したとしても、その人がどう感じるかはコントロールできませんし、わかりません。また、自然に対して抵抗している人も多いです。例えば、「今日、雨が降ってほしくない」→「今日、雨は降るべきでない」、「今、この強いが風が止んでほしい」→「今、この強い風は吹くべきでない」……などなど。これは抵抗するだけ無駄なことです。現実を認めずに、変わってほしいと望むのは、犬に「ニャー」と泣けと懸命に教えているようなものです。しかし、そのような不自然なことを当たり前のようにやって苦しんでいる人が、現在 増えている気がします。
このように、私たちが苦しむときは、ある考えを信じて、現実に異を唱えているときです。これが大きなストレスになっていきます。ですので、私はなるべく現実には抵抗しないようにしています。なぜなら、必要以上に傷ついたり苦しんだりしたくないからです。100%負けるわけですから。私は皆さまによく伝えています。「あなたの体がよくなってほしいと思いますが、これは単なる私のワガママです」と。本人が体調を良くしようと思うかどうかは、わかりません。もちろん、よくなる方向に導けるようにできる限り努めますが、最終的な判断は本人の責任です。私は皆さまの体を治すことはできません。よくなる方法を提案したり、寄り添ったりして支援することしかできません。ここを何とかしようとしている「患者さんから嫌われたくない治療家」は苦しみます。「私の患者さんはよくなるべきだ」と。そして、心身のバランスが保てなくなって、体調を崩したりして、施術のパフォーマンスが落ちます。結果的に多くの患者さんに迷惑をかける形になっていきます。
もちろん、現実に起こったことをすべて容認しているわけではありません。私を含めほとんどの人は交通事故に遭いたくないし、病気なんかになりたくないと思っているでしょう。しかし、病気になったという現実と闘っても苦しむだけです。病気になったら、病気になったという現実を受け容れる方が楽ですし、さらにその選択をした方が回復に向かいやすいです。実際、当整体院でも、体の痛みに対して「イヤだ!」「痛みはなくなるべきだ!」「なんで私がこんな目に遭わなきゃいけないの!」と抵抗していた人が、「自分で作ったもの」「なるべくしてなったもの」「ただそこにあるもの」と現実を受け容れて、痛みに対する執着を捨てて当整体院の施術プログラムを淡々と実践することで、どんどん痛みから解放されています。現実に対しては、素直に「はい」という姿勢が大切ですね。
私たちが頭の中で生きられる範囲を大きく分けると、3つのエリアになります。「自分のエリア」「他人のエリア」「自然(現実)のエリア」。多くのストレスは、自分のエリアから離れたときに発生します。先述した「あなたは幸せになるべきだ」というのは、他人のエリアです。「家族はもっと私を理解するべきだ」「あなたは就職すべきだ」など、いろいろあると思います。他人にとって最善のことを自分が知っているという考えは、単なる驕りでしかなく、さらに自分のエリアから離れるので、緊張や不安、恐れを招くことになります。また、「今日、雨は降るべきでない」は自然のエリアです。災害や老い・死について危惧しているときも自然のエリアを生きていることになります。これも自然をコントロールできるという驕りで、自分を苦しめることになります。このように「自分のエリア」以外で生きているときは、傷ついたり、孤独感などを覚えたりして、不快な気分になります。
私たちが快適に生きることができるのは「自分のエリア」だけです。ストレスや不快感を覚えたときは、自分が今どこのエリアにいるのか自問して確かめることをオススメします。そして、ストレスを引き起こしている「執着している現実ではない考え」に気づくことが大切です。自分の人生を生きているはずなのに、頭の中で他人のエリアに入り込むと、自分のエリアを生きている人がいなくなります。そうなれば、自分の人生はうまくいかなくなり、思い悩むことになります。
さらに、自分が理解できる範囲は、「自分のエリア」だけです。そのためには、快・不快など、自分が今どのように感じているかを解る必要があると思います。オランダの哲学者、バールーフ・デ・スピノザは言います。
「自分自身、そして自分の感情をはっきりと理解すればするほど、
ありのままの現実を愛せるようになる。」と。
自分を知るというのは、終わりないクイズですね。一人ひとり常に変化しているので、おそらく延々と続くクイズなのでしょう。いまの自分の感情を知れば知るほど、幸せを感じられる時間が増えていくでしょう。さらに現実に抵抗する機会が減って、現実と仲良く過ごせるようになっていけば、無用なこだわりがなくなって、自分だけでなく他人も受容できるでしょう。
体の不調を利用して、自分に対する理解を深める人が増えればいいなぁ~と私は想っています。そのために私ができることは、私自身を知ることですね。皆さまに成長させていただいていることを強く感じる今日この頃です。本当にありがとうございます! さらに皆さまの成長に利用される存在になっていきますので、誠に勝手ながら、引き続きご協力の程よろしくお願いします。
『あなたがいつまでも元気でありますように・・・』
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました!
院長 山本浩一朗