Vol.7 「泥棒より悪質なこと」
こんにちは! 池袋バランス力学整体院の山本浩一朗です。
夜になると秋の虫の声が聞こえ始め、秋がすぐそこに来ていることを感じさせてくれますね。秋は食欲の秋と言われるほど、欲が強くなる季節ですね。人間の生物的な3大欲求「食欲・睡眠欲・性欲」。ストレス社会に生きる私たち現代人にはその中でも睡眠欲を満たしていくことが体にとって大切な気がします。前回のコラムの通り、活動的になって上手に体を疲れさせて眠ることで、しっかり欲求を満たしていきましょう!
さて、前回は上機嫌を保つことの大切さをお伝えしました。何度か引用しているゲーテの名言「人間の最大の罪は不機嫌である」は心に響く言葉ですね。同じ時代に、日本では良寛和尚が「和顔愛語」をモットーに生きていました。和顔愛語とは「おだやかな表情で優しい言葉をかける」という人に接する心を表した言葉です。18世紀から19世紀にかけて生きた東洋・西洋の賢人が伝えたことは、健康にも大きく関係しています。「和顔愛語」を心掛けていると元気になって、「不機嫌」でいると不健康になりやすくなるでしょう。ですので、自分の機嫌をどう保っていくかが大切になってきますね。
また、現代でも同様なことをお話していた方がいました。作家の故・三浦綾子さんです。下記に引用させて頂きます。
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これは時折、講演で話すんですが、「泥棒と悪口を言うのと、どちらが悪いか」。私の教会の牧師は「悪口のほうが罪が深い」と言われました。大事にしていたものや、高価なものを取られても、生活を根底から覆されるような被害でない限り、いつかは忘れます。少しは傷つくかもしれませんが、泥棒に入られたために自殺した話はあまり聞かない。だけど、人に悪口を言われて死んだ老人の話や少年少女の話は、時折、聞きます。「うちのおばあさんたら、食いしんぼうで、あんな年をしてても三杯も食べるのよ」と陰で言った嫁の悪口に憤慨し、その後一切、食べ物を拒否して死んだ、という話があります。それと、精神薄弱児の三割は妊婦が三か月以内に強烈なショックを受けた時に生まれる確率が高いと聞いたことがありますが、ある妻は小姑に夫の独身時代の素行を聞き、さらに現在愛人のいることを知らされた。それは幸せいっぱいの兄嫁への嫉妬から、そういうことを言ったのです。この小姑の話にちょうど妊娠したばかりの妻は大きなショックを受け、生まれたのは精神薄弱児だったそうです。恐ろしい話です。私たちの何気なく言う悪口は人を死に追いやり、生まれてくる子を精神薄弱児にする力がある。泥棒のような単純な罪とは違うんです。
それなのに、私たちはいとも楽しげに人の悪口を言い、また、聞いています。そしてあぁきょうは楽しかった、と帰っていく。人の悪口が楽しい。これが人間の悲しい性(さが)です。もし自分が悪口を言われたら夜も眠れないくらい、怒ったり、くやしがったり、泣いたりする。自分の陰口をきいた人を憎み、顔を合わせても口をきかなくなるのではないでしょうか。自分がそれほど腹が立つことなら、他の人も同様に腹が立つはずです。そのはずなのに、それほど人を傷つける噂話をいとも楽しげに語る。私たちは自分を罪人だとは思っていない。罪深いなどと考えたりしない。「私は、人さまに指一本さされることもしていません」。私たちはたいていそう思っています。それは私たちは常に、二つの尺度を持っているからです。「人のすることは大変悪い」「自分のすることはそう悪くない」。自分の過失を咎(とが)める尺度と、自分以外の人の過失を咎める尺度とは まったく違うのです。一つの例を言いますとね、ある人の隣家の妻が生命保険のセールスマンと浮気をした。彼女は、「いやらしい。さかりのついた猫みたい」と眉をひそめ、その隣家の夫に同情した。何年か後に彼女もまた他の男と通じてしまった。だが彼女は言った。「私、生まれて初めて、素晴らしい恋愛をしたの。恋愛って美しいものねぇ。」私たちはこの人を笑うことはできません。私たちは自分の罪が分からないということでは、この人とまったく同じだと思います。
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いかがでしたか? 機嫌同様、言葉もとても大切ですね。私は「言い訳しないですね。」と言われることがしばしばあります。また、気づいたことは直接伝えるようにしていますので、陰口も少ないのかもしれません。ただ、悪口を全く言っていないわけではありません。確実に言っています(笑)。人との比較はできませんが、少ないのだとすれば、私の祖父の影響だと思います。
私が幼い頃、小学校の校長先生をしていたおじいちゃんによく注意されていました。「こうちゃん(私のことです)、使う言葉には気を付けんといかんよ。使う言葉でこうちゃんの人生が創られていくんじゃから。」と。日本では昔から言葉に宿っていると信じられていた不思議な力を「言霊」といい、発した言葉どおりの結果を現す力があるとされていました。子供の頃は意味が良くわかっていませんでしたが、今では私も意味が少しわかるようになってきたと思います。
悪口は極力少なくした方が良いと思いますが、全くなくすことは難しいです。ただ、三浦さんのお話の通り、自分の罪に気づくことが大切です。また罪に気づいたとしても、私たちは自分がしてしまったことを言葉で正当化しようとする傾向があります。その場しのぎにはなっても、自分の行為を正当化するクセが習慣化すると、自分に嘘をついているので心身ともに凝り固まって自身が苦しくなるケースが多いです。
ですので、当整体院では言葉の習慣もお伝えしています。とても簡単な方法ですが、非常に効果的なのでご好評を頂いています。実践している人でお気づきの方もいますが、簡単な習慣を続けただけで使う言葉も自然に変わっていきます。
まずは、心の中で悪口は言ってもいいので、良い言葉を発していきましょう。そうすれば、あなたの周りへの影響だけでなく、あなたのカラダもきっと喜ぶでしょう。
『あなたがいつまでも元気でありますように・・・』
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました!
院長 山本浩一朗